3月23日に開幕する高校野球。練習試合も解禁され、高校野球の春がやってきた。センバツ出場を逃した学校、特に新3年生にとって、甲子園出場のチャンスはあと1回だ。
センバツムードが盛り上がるなか、ここではギリギリでセンバツ出場を逃した強豪校を見ていきたい。
2017、2018年のセンバツ覇者・大阪桐蔭は近畿大会8強に留まり、近畿6枠から漏れた。近年の結果を見れば、全国ナンバーワンといってもいい超強豪。ファンも出てほしかっただろうが、「ギリギリ落選」の条件が整ってしまった。
近畿大会初戦では奈良2位の橿原を10対0の5回コールドでノックアウト。準々決勝での結果は2対5。相手は智辯和歌山。悪くはない結果だったが、比較対象となる準々決勝に進出した各校の顔ぶれが、各府県大会の勝敗も含めて複雑だった。
■近畿大会準々決勝
福知山成美 0対5 履正社
報徳学園 0対4 明石商
大阪桐蔭 2対5 智辯和歌山
市和歌山 4対5 龍谷大平安
点差で単純に並べると、選出されてもおかしくはない。ただ、準決勝で大阪1位の履正社が京都3位の龍谷大平安に0対7(7回コールド)で大敗。龍谷大平安はそのまま決勝でも兵庫1位の明石商を破って優勝。また、大阪桐蔭を下した智辯和歌山も準決勝で明石商に0対12(5回コールド)で大敗。結果、京都1位の福知山成美に追い風が吹いた。
8強の2枠は市和歌山、福知山成美が選ばれた。大阪桐蔭の落選理由として挙げられたのは「完成度」だ。
こればかりは実際に見てみないと何とも言えない。たとえば、昨夏の甲子園では智辯和歌山が優勝候補に挙げられていたが、初戦で近江に敗退。近江の前評判は「中の上」レベルだったが、明らかにプレーの一つひとつが洗練されており、ファンに一目で「強い」と確信された。
しかし、そこは大阪桐蔭。春に完成度が上がっていることに疑いはないが、秋の時点で評価しなくてはならない。過去の大阪桐蔭と比較されてしまった感も否めない。
夏は「さすがの完成度」といわれる状態でリベンジに期待したい。
関東・東京の6枠目は横浜(神奈川)に軍配が上がった。比較対象の東海大甲府はシードのため、準々決勝からの登場で習志野に4対8、佐野日大は桐蔭学園に1対8、横浜も春日部共栄に2対9(7回コールド)で敗れ、関東大会8強止まりの4校が低調だった。
そうなれば、東京2位の東海大菅生にも注目が集まる。東京都大会決勝では、優勝した国士舘と3対4の接戦を演じており、大会を通じても高いディフェンス力で二松学舎大付、岩倉、早稲田実を退けた。
しかし、最終的には横浜の最速152キロ左腕・及川雅貴が評価を集め、東海大菅生は落選。技巧派の左腕・中村晃太朗の好投が光っていただけに惜しい。
春の関東大会、夏の甲子園ではぜひ横浜と対戦し、投げ合いを見せてほしい。
昨夏の甲子園で注目を集めた好投手・西純矢を擁する創志学園も中国大会4強止まりでギリギリ落選。広陵に0対7(8回コールド)の「大敗」が響いた。
四国大会準決勝で、4対10で高松商に敗れた高知商もあと一歩。点差でいえば、創志学園よりは可能性はあったが、同じく準決勝で松山聖陵に3対5で敗れた富岡西には印象で劣る。さらに富岡西は選出時点で「21世紀枠濃厚」だった。つまり、中国地区から最後の1枠が選ばれやすい条件がそろってしまった。
ただ、中四国5校に滑り込んだ市呉は、中国大会準決勝で米子東を相手に5対6(延長13回)の死闘を繰り広げており、高知商はそれを覆す材料がなかった。地域バランス抜きにしても市呉は妥当だった。
文=落合初春(おちあい・もとはる)