■ソフトバンクの落とし穴
・松田宣浩の不振
・先発陣が炎上気味
近年は「強力」の二文字を冠し続けたソフトバンク打線だが、今季は迫力を欠く試合が続いている。
特にWBC帰りの松田宣浩が大不振に陥っているのが手痛い。4月23日時点で打率.192、本塁打ゼロ。長谷川勇也もオープン戦から調子が上がらず、打率.125で2軍落ち。
「層が厚い」と言われ続けてきたが、打撃面で中堅どころが下り坂に差し掛かっている。ようやく復調の兆しが見えてきたが、5番・デスパイネも苦しい出だしだった。
先発投手陣も厚い層がボロボロとはがれ始めた。昨季の最多勝投手・和田毅が11日に左ヒジの張りで2軍落ち。すると今度は14日にWBC帰りの武田翔太が右肩の違和感で2軍に……。昨季29勝を挙げた左右の両輪が離脱した。
バンデンハーク、中田賢一も1勝2敗で黒星先行。ローテーションの穴埋めが急務だが、大隣憲司や攝津正が役割を果たせず。23日の楽天戦では寺原隼人が久々の先発を務めたが、4回途中で降板。計6投手をつぎ込むリレーになってしまった。
さらに10勝中6勝が極度の打線の不振にあえぐロッテから。お得意様がいることはいいことだが、全勝のロッテ戦以外はすべて負け越している。
■ロッテの落とし穴
・超貧打線
・実績ある投手の不調
打線は水物とよくいわれるが、今のロッテ打線は湿りすぎてカビが生えてしまいそうだ。19試合を消化してなんとチーム打率.188……! 5本塁打、1盗塁も目を覆いたくなる数字だ。
痛かったのは新助っ人コンビの不発。開幕から4番に座り、「ボーリックの再来」を期待されたパラデスは打率.130ですでに2軍落ち。オープン戦で4本塁打、15打点を挙げたダフィーは打率.212。7番に打順を落とした。
鈴木大地が打率.328、2本塁打と孤軍奮闘しているが、次点は井上晴哉で打率.250。打の中心であるべき清田育宏、角中勝也も打率1割台に沈み、すでに2軍降格となった。
伊東勤監督もこの現状には怒り心頭。敗戦直後にそのまま夜間練習に突入するなど、奮起をうながしているがとにかく打てない。
投手陣では、WBCから帰ってきた石川歩が本来の投球を見失い、0勝3敗、防御率7.62と迷走中。ダブルエースの涌井秀章も1勝3敗、防御率3.71とピリッとせず。リリーフエースの大谷智久も7戦中3戦で失点し、信頼できる存在がいない。
ルーキーの佐々木千隼が1勝1敗、防御率1.50と頭角を現しているが、2勝以上を挙げた投手は皆無。深刻な枚数不足だ。
■日本ハムの落とし穴
・主力が相次いでケガ&不振
・投手陣が炎上
4月23日時点で4勝16敗。大谷翔平の離脱も痛いが、8連敗中の理由は主力陣の不調にほかならない。まずは主砲の2人。腰痛で一時離脱した中田翔は打率.176。レアードも3本塁打を放っているが打率.143の低空飛行だ。
さらに出塁すべき選手がなかなか出塁できない。西川遥輝は打率.231。中島卓也は打率.147。いやらしい野球の原動力であった2人が苦しんでいる。
近藤健介が打率.459と爆発しているが、それ以外がさっぱり。次点がルーキーの石井一成で打率.255。チーム打率.219はロッテと同様に貧打線の水準だ。陽岱鋼の移籍で活性化するはずの外野は2つも空席がある。
投手陣も「息をするように」失点をしている。開幕投手を任され、飛躍の年になるはずだった有原航平は4戦4敗、防御率7.56の大荒れ。昨季は日本一の屋台骨となった谷元圭介は防御率5点オーバー、宮西尚生は6点オーバーだ。
守護神・マーティンが故障で不在だが、そもそも代役守護神の増井浩俊までつながる試合が少ない。16日の楽天戦では9回まで1点リードでしのいだが、その増井が同点に追いつかれてしまった。
チーム防御率は4.65、先発の防御率は4.90、救援の防御率は4.21。お世辞をいえる部分がない。
日本一の歓喜から一転、近藤の打率とルーキー・石井一だけが目下の楽しみになってしまった日本ハムファン。まるで暗黒時代のような状況だが、歯車はいつ噛み合うのか……。
文=落合初春(おちあい・もとはる)