FA宣言し、巨人入りを決めた山口俊と森福允彦が、5日、都内のホテルで揃って入団会見を行った。
山口は会見で「先発でマウンドに上がる以上、1試合でも多く完投、貯金ができるように精一杯頑張っていきます」と決意を表明。
森福も「巨人軍の森福允彦として、これから成長と挑戦をしっかりやっていこうと思います」と思いを語った。
山口は、かつてクローザーを経験していたことからリリーフに回る可能性を指摘する報道もあったが、会見で話したように先発での起用となりそう。
今季は先発として11勝を挙げ、そのうち5試合が完投。さらに、登板した19試合のうち、17試合で100球以上投げている。残る2試合も90球以上で、勝っても負けてもある程度のイニングは任せられるため、ベンチとしては試合を組み立てやすい。来季もこの調子を維持したいところだ。
打線の援護という点で考えれば、古巣のDeNAよりは、巨人のほうが得点能力はやや落ちるが(今年のチーム総得点はDeNAが588得点、巨人が543得点)、元楽天のマギーの加入と、日本ハムからFA宣言している陽岱鋼の獲得も視野に入っていることから、昨年よりは改善する可能性がある。先発投手陣が勝ち星を伸ばせる環境は整いつつある。
巨人の先発ローテーション候補は、菅野智之、田口麗斗を軸に、内海哲也、マイコラス、大竹寛といったところ。チーム最多勝が田口の10勝で、山口の11勝を下回ったのが現状だ。ここに加わる山口への期待は大きい。
一方の森福も、左のセットアッパーとして絶対的な存在だった山口鉄也の勤続疲労が懸念されることから、重宝されそうだ。
2011年の日本シリーズで、無死満塁の場面を抑えた「森福の11球」に象徴されるように、強心臓とスライダーのキレで勝負する森福。2014年の防御率3.02に対し、2015年は5.82と数字が下降していただけに、疲労の蓄積が心配されたが、今季は2.00と持ち直している。
今季はワンポイント起用も多かったため、50試合の登板ながら27回とイニング数は少なかった。「ワンポイント起用に満足できない自分がいた」という本人の思いはともかく、それがコンディション維持にはプラスに働いたのかもしれない。
会見に同席した高橋由伸監督は、「現役時代から対戦もして、彼らの力はわかっているつもりです。今までどおり頑張ってくれればいい」と、早くも両投手への信頼を口にした。
巨人入りを表明したときには、古巣への愛着からか、取材陣の前で涙を抑えきれなかった山口と森福。それでも、山口が42番、森福が13番という新たな背番号がついたユニフォームに袖を通して、もう完全に吹っ切れているはず。両投手の新天地での活躍に期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)