日本ハムの吉井理人投手コーチが所有する愛馬・フォーシームが、一旦転出していた名古屋競馬からJRAへカムバックすることになった。
日本の競馬は、大きく分けて「JRA(中央競馬)」と「地方競馬」がある。名古屋は地方競馬だ。ざっくりと野球で例えるなら、JRAがNPB、地方競馬が独立リーグのような位置づけととらえていただければわかりやすい。
野球界にも、戦力外となりながら、独立リーグで腕を磨き、再度NPBを目指す選手がいる。同様に競走馬も、一度はレベルの高いJRAで結果を出せなかったとしても、馬主にその気があれば、地方競馬で経験を積んでから出戻ってくるというルートが用意されている。
もちろん復帰には転出先の地方競馬である程度の実績を残す必要がある。
フォーシームは、昨年1月にJRAでデビューしたが5戦して勝ち星を挙げられず、名古屋競馬に転出。そこで8戦3勝、2着1回、3着3回という成績を残し、この夏からあらためてJRAで現役生活を続けることとなったのだ。
父がダイワメジャー、母がマイヴィヴィアンという血統のフォーシーム。競馬ファンならピンときたはずだ。そう、兄はダービー、皐月賞、春秋の天皇賞などG14勝を含む9勝を挙げたメイショウサムソンである。
年齢を重ねてからも大レースで活躍した兄を知っていれば、馬主の吉井コーチならずとも、もうちょっと走らせてみたいと思うはずだ。
吉井コーチは、4月17日付の自身のブログで、フォーシームについて「名古屋競馬の厩舎を離れ、JRA復帰を目指して美浦近郊の牧場でトレーニング中です。札幌開催での復帰を目指しています」と近況を報告していた。
また、6月26日付のブログでは 「今後は美浦の伊藤大厩舎に入厩し、札幌シリーズに向けて調整していく予定です」と、この先のプランを明かしている。
プロ野球のペナントレースも折り返し地点に差し掛かっているが、日本ハムのチーム状態はなかなか上がってこないだけに、吉井コーチはストレスの多い日々を過ごしているに違いない。
夏の札幌競馬は、7月29日からの毎週末、6週間に渡って行われる。奇しくも日本ハムの本拠地・札幌で、愛馬がひと回り成長した走りを見せるようなら、吉井コーチの心も少しは癒されるかもしれない……。
文=藤山剣(ふじやま・けん)