9月12日のオリックス戦、Koboスタ宮城の解説席に座った“ギャオス”こと内藤尚行氏も、その1人である。主催試合における年間観客動員数の記録更新を達成したこの試合は、楽天が初回から主導権を握り、15安打11得点を挙げて快勝した!
なかでも光ったのは左打者3人の活躍ぶり。1試合2ホーマーを叩き出し3安打2打点の活躍を見せた茂木栄五郎、リードオフマンとして2安打2打点と気を吐いた岡島豪郎、クリーンアップで1本塁打を含む3安打4打点の打棒を振るった島内宏明。
彼ら左打者3人の勇姿を目撃した内藤氏は興奮口調で、その頭文字を取り「MOSトリオ」と命名したのだ。
ペレス、ペゲーロといったシーズン途中に加わった新外国人も左打者だ。来季も残留と言われる両外国人は、8月以降のホームラン攻勢を支える主人公である。
極端なオープンスタンスで2戦連続一発という鮮烈デビューを飾り、75打席で5本塁打(9月18日現在)を放っているキューバ人のペレス。2番に座った9月11日の日本ハム戦でもその本領を発揮し、1番・岡島とともに初回先頭打者からの2者連続本塁打。首位いじめの立役者になった。
ドミニカ出身のペゲーロも負けじと、155打席で9本塁打。量産態勢に入っている。マリナーズ在籍時代、イチローを驚かせた怪力は健在で、打った瞬間、相手外野陣の足が釘づけになるほどの超弾道は、早くもKoboスタ宮城の名物になっている。
このチームを代表する「東北生まれの生え抜き選手」として欠かせない存在が銀次だ。前半戦は不調で苦しんだが、7月以降は打率.329と本来の姿を取り戻した。
不動の正二塁手・藤田一也は楽天移籍後、満塁にめっぽう強く、今季もフルベースでは15打数7安打の打率.467。若手の台頭、外国人の加入で出番が減ってきている聖澤諒も、限られた出場機会で結果を残して打率は.292だ。
思い返せば、初のクライマックスシリーズに進んだ2009年も、日本一を掴み取った2013年も、左の好打者の活躍が印象的だった。
2009年は鉄平が首位打者、草野大輔も3割を残し打撃十傑入り。育成から這い上がった中村真人は悪球打ちで存在感を発揮し、憲史は代打の切り札として大粒の汗を流した。
2013年は1番・岡島豪郎、2番・藤田、3番・銀次、6番・枡田慎太郎といった左打者陣がジョーンズ&マギーの「MJ砲」の周りを固め、恐怖の9番打者として島内宏明と聖澤が起用された。
梨田昌孝監督就任2年目の来季は、左打者の活躍劇が今年以上に増えそうな予感。左打者が活躍するときの楽天は強い。
来季に夢を膨らませながら、今季の残りシーズンを楽しみたい。
文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。