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「タナノミクス」発動! 佐藤勇、菊池雄星、高橋光成の三本の矢で一気に西武は景気回復!!


 日々のニュースを見ていると、日本の景気回復には、まだまだ時間がかかりそうに思える。一方で、一時の不況(不調)から脱したかに見えるのが、埼玉西武ライオンズだ。

 交流戦直前の10試合で7勝3敗。ロッテやソフトバンクと互角以上に渡り合い、その勢いで楽天から今季初の同一カード3連勝を果たすなど、波に乗っている。

 特に楽天3タテの中身が素晴らしく、3試合で1失点と課題だった先発投手陣は立ち直ったかのようにみえる。そこで今回は、西武を上昇気流に乗せた三本の矢とも言える立役者を紹介しよう。

3年目で花開いた苦労人


 一本目の矢は、佐藤勇。2012年のドラフト5位で入団した4年目の左腕だ。

 4月26日のロッテ戦でプロ初登板を果たすと、中継ぎを2回経て先発へ。楽天とロッテにKOされたものの、3回目の先発機会をものにして、見事プロ入り初勝利を挙げた。

 2回に無死満塁のピンチを作ったが、三振、サードゴロ、三振で切り抜け、初先発の際にKOされた楽天を向こうに回して5回を無失点。最高のリベンジを果たすことができた。

 福島県西白河郡西郷村で生まれた佐藤は、小学1年生の頃に父親を亡くして女手1人で育てられた。通っていた光南高校も、『ウィキペディア』の「出身者」の欄には佐藤の名前しかない。

 母親と母校に向けて、一度に恩返しをした苦労人。これからも地元に吉報を届け続けてほしい。


いよいよ覚醒の時、きたる


 二本目の矢は菊池雄星(写真)。あらためめて語る選手ではないが、楽天戦の2戦目に登板すると、7回を88球で抑えてみせた。

 同じ左腕の後輩が前日に素晴らしい投球を披露していただけに、発奮するとは思ったが、見事に先輩のメンツを保った。

 今季は開幕投手を任されるも、例年と変わらないピッチングを続けてきたが、5月に入って人が変わったかのような投球を見せている。

 いよいよ本領発揮か。真価が問われる交流戦になりそうだ。

甲子園優勝投手がプロの名投手の系譜に


 三本目の矢は高橋光成。今季は期待されていた開幕ローテ入りこそ叶わなかったが、徐々に調子を上げてきている。

 その証拠が、楽天の3戦目で見せた完封劇。楽天打線を散発の3安打に封じ、12個もの内野ゴロを打たせた。三振は9個と惜しくも2ケタに届かなかったが、進化を感じさせる勝利となった。

 またこの完封勝利には、現ヤンキースの田中将大以来の「高卒から2年連続」という肩書きもついてきた。こうなったらもう、名投手の道は約束されたも同然。


若手ビッグ3がチームを変える!


 今季は岸孝之の離脱や十亀剣の不調など、実績のある先発投手に泣かされてきた西武。しかしここに来て、孝行息子が現れてくれた。

 また、ここのところ西武は、若手野手は育つが投手が育たないと言われてきた。しかしこの3人には、その潮目すら変える力があると信じている。

 それが叶った時、西武は再び「投手王国」という好景気に湧くはずだ。そして「黄金期」という名の、バブルが来ることを願って止まない。


文=森田真悟(もりた・しんご)

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