時折見せる緩慢な守備や走塁。それに加えて、腕にびっしり入れられたタトゥーにキラリと輝くピアス。しかも、今季の初めのころには、アゴヒゲだけを金色に染めるというファンキーなスタイルだった。あまりいいイメージを持たない人も少なからずいるだろう。ヤクルトのバレンティンに対してである。
しかし、度重なるケガでわずか15試合の出場に終わった昨年とは違って、今年はバットでしっかりと結果を出している。そこは評価されてしかるべき。開幕こそ1週間ほど出遅れたものの、1軍登録された4月3日以降は、全試合スタメンで出場。6月14日の試合を終えた時点で、打率.283、15本塁打、48打点と、中軸の務めを十分に果たしている。
このペースで残りの76試合を消化すると、打率はそのままとして、単純計算で本塁打は34本、打点は113となる。本塁打記録を更新した2013年(打率.330、60本塁打、131打点)には及ばないが、昨年度のセ・リーグランキングに当てはめれば、打率は7位、本塁打は2位、打点は1位だ。
推定年俸250万米ドル(約2億6300万円)+出来高という年俸からすれば、それぐらい打ってもらわなきゃ困るという数字かもしれない。まあでも、助っ人としてはトップクラスの数字であることは間違いない。
今季のヤクルトは投壊状態もあって、なかなか浮上のきっかけが見出せていない。しかし、思い返せば昨年。交流戦の最後の3試合と交流戦明けの2試合で5連敗を喫し、最下位に転落したのが6月21日だった。そこから、ご存知の通り、巻き返して優勝している。幸いと言うべきか、6月14日現在、セ・リーグで貯金があるのが広島だけというダンゴ状態。まだまだ上位進出の可能性はある。
同じくクリーンアップをつとめる畠山和洋が左手首痛のため6月13日に登録抹消。バレンティンもいっそう奮起するはず。豪快な一発で燕打線を引っ張るバレンティンに期待だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)