高校野球の最前線をお伝えする本企画。今回は「高校ビッグ4」の一角・西純矢(創志学園)から追ってみたい。
佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)、及川雅貴(横浜)とともに高校生投手ビッグ4の一角を張る西。昨夏の甲子園では、2年生ながら優勝候補の創成館を16奪三振完封で下し、衝撃の甲子園デビューを果たした。
しかし、秋の大会ではやや疲れが残っていたのか、調子を落としており、中国大会では広陵にコールド負け。春も公式戦は投げず、他の3投手に比べれば、ややメディアでの露出は少ない印象がある。
ただし、評価は上がっている。もともと最速153キロの数字が注目を集めていたが、秋以降はコントロールに意識を置いた「大人の投球」を見せている。練習試合で対戦した選手に何人か話を聞いたところ、軒並み「セーブした投球」でも「抜群のキレだった」と話しており、秋から春にかけては「ローギア」の精度を磨いていたようだ。
明らかに夏に合わせる調整に見えるが、それだけ岡山の夏は激戦ということだ。今年の関西は見る者を驚かせる「体格」を有し、倉敷商は打線の破壊力がある。西が100%の力を出したとしても楽に勝てる相手ではないだろう。
いずれにしても、侍ジャパンU-18代表の選出はほぼ確実。どこで「3年生・西純矢」が全国デビューするかは、野球の神のみぞ知る……だが、その投球スタイルには注目が集まる。
今年は高校生投手豊作で侍ジャパンU-18代表が楽しみだが、もうひとつのポイントは正捕手争い。現時点では有馬諒(近江)と東妻純平(智辯和歌山)が抜け出している。この夏は2人の評価の上がり具合も注目だ。
まずは有馬諒。昨夏、甲子園で8強に進出した近江だが、継投策が実ったのは有馬のインサイドワークがあったからだ。当時は2年生だったが、試合前のノックから落ち着いた風格があり、近江のチーム力が高い評価を得た要因だったともいえる。
センバツを逃し、4月の侍ジャパンU-18代表・第1次候補の国際大会対策研修合宿のメンバーからは外れたが、巧みなリードを代表でも見てみたい。
東妻純平は非凡な打撃センスの持ち主。174センチ75キロと最近の「プロ注」のなかではやや小柄ながら、名門の4番を打ち、バチンとスタンドに持っていける。“実戦”で二塁送球2秒を切る「鬼肩」からも目が離せない。
高校から捕手に転向したため、リード面に不安を残すが、中谷仁監督(元阪神ほか)のもとで知識と実力を伸ばしている。サイズ的にも梅野隆太郎(阪神)のようになれるはず。
また、2人の進路も楽しみだ。プロを志望するのか、それとも大学でキャッチャーとしての器を拡げるのか。守備の要が輝く夏になってほしい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)