最近のスタメン発表映像の大きな注目点は、選手が動画でポーズを取って演技をしているところ。以前は試合中の映像や、選手名鑑用の写真を使用するケースが多かった。今は春季キャンプ中に時間を設け、簡易スタジオで映像用の撮影を行うなど、現場での協力も得て映像が作られている。あまり見られない各選手の演技にも注目だ。
またCG技術の発達、スコアボードの映像ビジョンが、フルスクリーンになって映像に迫力が増していることも見逃せない。
各球団の今季のスタメン発表映像で、強烈なインパクトを与えているのは日本ハム。何と言っても今季のスタジアム演出のコンセプトは「宇宙」。
それは映像にも色濃く反映されている。スタメン発表前の煽り映像では宇宙船となった札幌ドームの中で、選手たちがアーマーを身につけ超人的なプレーを見せる…。そして、司令室では栗山英樹監督が地球に向け進路を進め、大勢のファンの出迎えを受け「宇宙船」札幌ドームが着陸する。
これまでのプロ野球ではほとんど見られなかった、斬新なストーリーだ。スタメン発表本編でも映画「スター・ウォーズ」のテーマを彷彿とさせるBGMが流れ、CGから各選手の姿になっていく。見ているファンを大いに楽しませる展開になっている。
一方、セ・リーグで昨年と大きな変化が見られたのは広島だった。選手名が呼ばれる場面では、昨年までは「写真」だったが今年は「映像」へと進化している。
その映像も今季のチームスローガン「真赤激(マッカゲキ)!」のイメージそのままに、選手が叫ぶ姿がフルスクリーンで映り、ポーズを取っていく。なかでも4月に通算2000本安打を達成したベテラン・新井貴浩が力強く叫ぶ姿は、見どころの一つだろう。
そのなかで唯一、投手陣のベテラン・黒田博樹の場面では、叫ぶ姿がない。その代わりにグラブを構え、少し遠くを見るような映像となっている。それでも、そのクールな格好良さに惹かれるファンは多い。
他にも毎年クオリティーの高い映像を流しているのがオリックス。昨年のキラキラと輝くイメージの映像から一転し、光と影のコントラストをうまく利用した映像に仕上がっている。
今季からスコアボードが一新したロッテは、映像の最初でベテラン・福浦和也が波に乗りながらボールを打つという迫力あるシーンが見もの。音楽や映像のテイストも一新した。
高橋由伸新監督となった巨人はスタメン発表の最後に、その高橋監督が登場。スタメン発表で登場する選手同様に紹介されている。球場が盛り上がる瞬間の一つであるスタメン発表、その映像も観戦で大きな楽しみとなっているのだ。
文=武山智史(たけやま・さとし)