新型コロナウイルスが猛威をふるう今春。あらためて高校野球界の状況を整理してみたい。
4月4日、九州地区の各高野連の代表者たちが緊急理事会を開き、春季九州大会の中止を発表した。これにより準々決勝まで無観客で開催されていた沖縄県大会も打ち切りになった。
球児にとっては難しい状況での試合となったが、沖縄県大会でベスト4に勝ち上がったのは、中部商、沖縄工、宮古、日本ウェルネス沖縄の4校。日本ウェルネス沖縄は創部3年目の新興校にも関わらず、3回戦では強豪・興南から8対1の8回コールド勝ちの大金星を挙げており、今後の沖縄の戦力図を書き換える可能性もある。
130キロ台後半を投げ込む好左腕・比屋根柊斗らの躍動を、この夏は是非とも見たい。
一斉休校に伴い、ほとんどの高校が部活動を取りやめていたが、3月末より感染者の少ない地域を中心に練習再開の動きが出始めている。
春のセンバツに出場予定だったチームをはじめ、夏に向けて気合が入るが、検温や密着の防止、時間短縮などさまざまな取り組みの中での練習再開になっているケースがほとんどだ。
しかし、春休みが明けて学校が再開し、学校内で集団感染が起こる危険性もある。もし、そのような事態が起これば、再度休校も考えられる。球児たちの健康を祈るばかりだ。
センバツ中止や春季大会中止で揺れ動いた高校野球界だが、実は2月に恒例の「キャッチフレーズコンクール」の結果が発表されている。
見事、夏の高校野球のキャッチフレーズに選ばれたのは、神戸学院大付3年・王田竜雅さんが応募した「自分の本気と、出会う夏。」。
夏の甲子園の開催可否は5月に決まる予定だが、高校球児にはこの苦難を乗り越え、夏に本気の勝負を繰り広げてほしいと切に願う。
文=落合初春(おちあい・もとはる)