プロ野球が開幕する頃は春爛漫、ポカポカ陽気の季節となってくる。しかし、スタジアムはすり鉢状になっているもののまだまだ肌寒く、春の装いでは試合を最後まで見届けるのが厳しい……。筆者の感覚では、5月いっぱいはちゃんと防寒対策をしておくのがおすすめだ。
ましてやカップルでの観戦、特に彼女が野球にそこそこの興味しかない場合は、頑張っても4回くらいには「寒いからどっか別のとこ行こうか」という話になりがち。不意に別のプランを絞り出さなくてはならなくなる可能性も出てくるのでご用心を。
また、仕事を終えたサラリーマンが通りがかりに生ビール片手に観戦しにくるケースも多いが、防寒対策ができていなければ、生ビールによって余計に体が冷えて、観戦が2イニングと持たないケースも多い。
各スタジアムにはご自慢のご当地グルメ「球場めし」が存在する。せっかく観戦に来たからには、それは押さえておきたい。
しかし、売店に買い出しに行くタイミングを間違うと、あまりの長い行列に2イニング以上も観戦できなくなることもありがち。最悪の場合は、決勝点を見逃すこととなる。
「家族の喜ぶ顔が見られれば」という家族サービスが主目的の方には無用の心配だが、野球オタクにとっては、プレイバック映像のないスタジアムで起きるこの失敗は、取り返しのつかないエラーとなる。
さほど野球に興味のない人からは、1人でプロ野球を観戦することを珍しがられることがある。しかし、野球オタクであれば「ぼっち観戦」は珍しいことではない。それにも関わらず、スタジアムは「ぼっち客」にあまりやさしくないものだ。
心地よく生ビールを飲みながらプレーに酔っていると、様々な試練が容赦なく襲いかかる。
さて、トイレに行きたくなったがどうしたものか? 指定席でなければ、そう思案するのはなおさらだ。貴重品を置いてはいけないし、ましてや荷物を置いての席取り行為はマナー違反とされている。トイレに行くのにも、ひと苦労なのだ。
また、近隣のグループ客のなかにいる「論客」のコメントが気になって試合に集中できない、なんていうアクシデントも日常茶飯事である。論客の声は「ぼっち観戦」だけに、よく聞こえてくるのだ……。
野球観戦は予想外のことが起こりがち。しっかりと準備して思い出に残る試合観戦にしたいものだ。
文=元井靖行(もとい・やすゆき)