キャンプ、オープン戦の醍醐味といえば、期待のルーキーや若手の活躍予想。少し気が早いが、今年の新人王レースを予想してみよう。
広島の背番号18を背負う森下暢仁が新人王候補筆頭だろう。最速150キロ台のストレートに加え、スライダー、カットボール、チェンジアップなどを駆使する本格派だが、なかでもカーブがクセ球。ドロンと縦に落ちるカーブは岸孝之(楽天)の名が挙げられるほど、特徴的なボールで“初見”では手こずるだろう。
即戦力らしい即戦力は中日3位の岡野祐一郎。4月で26歳を迎える右腕であり、これまで社会人の名門・東芝で経験を積んできた。球速は140キロ台中盤だが、カットボールや2種類のフォークなどを駆使し、省エネでも試合を作れるタイプ。中日の若手中心の先発陣においては、いきなり中堅クラスの活躍をしてくれそうだ。
順調ならば投球イニング数は問題なし。あとは打線の援護でどこまで勝ち星を稼げるか。
右ヒジの炎症で出遅れているが、やはり注目度と出場機会を考えると高卒ルーキーの奥川恭伸(ヤクルト)も新人王レースの対象になるだろう。最速154キロのストレートにスライダー、フォークなどの変化球を交え、高卒といえども完成度は歴代トップクラスの新人と言われる。
しかし、ときおり変化球が甘めに入ることもあり、「プロだったら打たれる」と思わせるシーンも少なくなかった。小さな変化球など、プロ仕様の武器を身に付ける必要があるかもしれない。
ただし、ヤクルトの先発陣は枚数が揃っておらず、1軍での出場機会が早めに巡ってきても不思議ではない。5月あたりに本格デビューし、波に乗りたい。
昨年7月に支配下登録を果たした高卒3年目右腕の中川虎大(DeNA)は穴。上から叩きつけるストレートを武器に昨季はファームで20試合、11勝3敗、防御率2.25の成績を収め、イースタン最多勝と最優秀防御率の二冠に輝いた。
昨季、高卒1年目ながら2軍で90試合に出場、打率.332、7本塁打の好成績を残し、育成から支配下、そして1軍初出場と一気にステップアップした山下航汰(巨人)も活躍すればインパクトは十分。
春のキャンプでは亀井善行のみならず、陽岱鋼もファーストの練習をしており、どうやら外野の1ポジションが競争枠になりそうな様相。ここに食い込むことができれば、新人王のチャンスも見えてくる。
文=落合初春(おちあい・もとはる)