今季のプロ野球を語る上で外せないのが、キューバ出身選手の存在だ。昨年9月末に、これまで自国選手の海外移籍を認めなかったキューバ政府が、野球を含むスポーツ選手の国外プロ活動を認めると発表。新たな外貨獲得の手段として、代表クラスを世界へ派遣する方針を打ち出した。この影響で今季はNPBにも、キューバ人選手が続々やって来たのだ。
このコーナー第4回目は、キューバから他国へ移住または亡命した選手も含めて、今季大アタリした選手からハズレ選手までキューバ出身選手を総ざらい。さっそく紹介していこう。
(年俸は推定。成績は9月21日現在のもの)
■大アタリ選手
内野手/右投右打/30歳(1年目)/1億円
外野手/右投右打/28歳(1年目)/7000万円
外野手/左投左打/32歳(1年目)/6000万円
内野手/左投左打/31歳(1年目)/5000万円
アタリ選手にするか、評価に迷う部分もあったミランダ。中田翔、陽岱鋼に次ぐ14本塁打を放つなど、1年目にしては及第点を与えられる成績を残しているのではないだろうか。
ただし100を超える三振数や、低打率は改善の余地アリ。日本ハムが来季の契約を継続するか注目したい。
■ハズレ選手
外野手/右投両打/34歳(1年目)/1億5000万円
内野手/右投右打/35歳(1年目)/4500万円
名前だけインパクトを残して、結局、謎のまま終わったキューバ人助っ人。長距離砲として期待されたカニザレスは、2軍では70試合に出場して打率.302、8本塁打、33打点と、及第点は残している。
しかし、2軍で活躍してよかった、と考えられる年齢の選手ではなく、打席数の違いはあるが、17本塁打を放っている猪本健太郎や14本塁打の塚田正義ら、若手選手より本塁打が少ないのはいただけない。また、あの松中信彦も、結果が出なければ、2軍に落ちるような選手層が厚いチームでは、相当インパクトを残した成績を挙げなければ、なかなか1軍からお呼びがかからないだろう。21日に1軍昇格を果たしたのは、来季も残留するかどうかのテストでもあるのかもしれない。
■大ハズレ選手
内野手/右投右打/32歳(1年目)/1億円
開幕直前にNPB入りした、この選手を覚えているだろうか。昨季までメジャー9年間で1156試合に出場し打率.261、1057安打80本塁打457打点を記録。年間150試合以上に出場したシーズンは5度を誇り、2013年も137試合に出場した現役バリバリのメジャーリーガーとして注目されたベタンコート。
ところが、開幕から不振で全く打てず、自慢の守備もNPBの細かいプレーに対応できないまま。18試合に出場して打率.141、本塁打0打点4と散々な成績を残してアメリカに帰国してしまった。ちなみに、帰国の理由は両足の外反母趾治療のためと、ハイヒールを履く女性がかかりやすい病状だったことも記しておこう。
内野手/右投右打/35歳(2年目)/5000万円
昨季のパ・リーグ本塁打王は、腰痛に苦しんだ。開幕直後に検査を受けるため、アメリカに帰国。軽度の腰椎ヘルニアと診断され、リハビリ治療。7月終わりに1軍復帰を果たすも、腰痛は改善せず6試合の出場に止まった。
結局、ペナントレース正念場の9月に出場できないことから、契約も打ち切り。バナナをおかずに、白いご飯を食べるのが大好きだったアブレイユ。来日1年目からタイトルを獲れたのは、マジメで投手や配球の研究を欠かさなかった成果だという。1日も早く、腰痛が良くなることを祈りたい。
他にも、巨人はキューバ国内リーグ「ラ・イスラ」でプレーしていた20歳のエクトル・メンドーサと7月に契約。190センチの長身から投げ下ろす速球が武器の若き左腕だ。さらに巨人にはキューバ人コーチも1名入団。キューバとのパイプ作りに余念がない。
次週はクライマックスシリーズやその先の日本シリーズなど、ポストシーズンで活躍を期待したい助っ人たちを紹介する予定だ。
■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。自他共に認める「太鼓持ちライター」であり、千葉ロッテファンでもある。Twitterは@suzukiwrite