8月28日に開幕するU-18野球ワールドカップ。今年は大阪府内の3球場と甲子園を舞台に高校世界チャンピオンを決める。
それに先立ち、8月26日、甲子園で侍ジャパン高校日本代表(U-18)vs大学日本代表の壮行試合が行われた。この夏、甲子園で躍動したスターたちが大学野球で活躍する先輩に胸を借りた格好だ。
注目のドリームマッチの結果は、9対2で大学日本代表の勝利。後輩を相手に絶対に負けられない大学日本代表がこまめな加点で、先輩の威厳を見せつけた。
この試合、大学代表、高校代表ともにドラフト候補が躍動した。試合での活躍とともにドラフト候補の注目選手を紹介しよう。
夏の甲子園優勝投手の小笠原慎之介がこの試合、日本高校代表のエースとして先発。まだ激闘の疲れが抜け切っていないのか、2回3失点の結果になったが、要所要所ではキレのある投球を見せた。
特に1回、1死二塁で迎えた、大学日本代表4番・吉田正尚(青山学院大・4年)との対戦では、カウント1−1から2球続けて外角低めのチェンジアップで空振り三振に。吉田も驚きの表情を隠しきれなかった。
大学日本代表のエースは田中正義だ。MAX156キロの豪速球と高速フォークを武器に、6月にはNPBの若手選手で構成されるNBP選抜から7者連続奪三振。8月22日に行われた創価大と日本ハム二軍の交流戦では、5回を7奪三振1失点と対プロでも実績を残す逸材投手だ。
まだ3年だが、楽天の立花陽三球団社長が来年の1位指名を公言するなど、2016年ドラフトでは間違いなく中心となってくるだろう。
この壮行試合ではもちろん先発。先頭のオコエ瑠偉(関東一高・3年)に対し、153キロ、152キロ、153キロと続けざまに低めのストレートをぶち込み三球三振を奪った投球は圧巻。味方のエラーも絡んで1点を失ったが、格の違いを見せつけた。
その田中撃ちを果たしたのが、甲子園準Vを果たした仙台育英高の中軸・平沢大河。この夏も甲子園で3本塁打を放ち、高校ナンバーワン野手の呼び声高い平沢は、3番ショートで先発。木製バットを目いっぱい長く持った状態で、田中の153キロの直球を一二塁間に引っ張り、痛烈な打球で美しいヒット。ライトが後逸する間に三塁を陥れた。
「これぞ4番」という働きを見せたのが吉田正尚。第1打席こそ、三振を喫したものの、第2打席は甲子園準Vの佐藤世那(仙台育英高・3年)からツーベースを放つと、第3打席は上野翔太郎(中京大中京高・3年)からライトにホームラン一閃。第4打席でもプロ注目の左腕・高橋樹也(花巻東)からバックスクリーンにホームランをかっ飛ばし、「これが大学野球だ!」と後輩たちを軽くひねった。
172センチとやや小柄だが、スラッガーとしての資質は十分。ロッテ、西武あたりが狙いそうな匂いがプンプンする選手だ。
今夏は左太もも裏のケガの影響もあり、惜しくも甲子園を逃した上位指名候補・?橋純平は9回に登板。ここまで登板した高校生投手6人は大学日本代表の“意地”の餌食となり、それぞれ失点していたが、?橋は1四球を出したのみで1回を打者4人無失点。ストレートが高めに浮くシーンも目立ったが、やはり球威やスライダーは高校ナンバーワン投手の呼び声に相応しいものがあった。
(文=落合初春)