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《甲子園・悲願校特集》悲願校を卒業するなら夏が有利!? 春夏の初出場校数を検証してみた

《甲子園・悲願校特集》悲願校を卒業するなら夏が有利!? 春夏の初出場校数を検証してみた

 「過去何度も準決勝、決勝など惜しいところで涙をのむ」「秋春は強いのに夏は弱い」「地区内では強豪なのに、なぜか甲子園と縁がない」といった甲子園に手が届きそうで届かない甲子園「悲願校」。

 この悲願校を『野球太郎』本誌で10年に渡りピックアップしてきた。そして、悲願校が甲子園に出場した場合は「卒業校」として翌年、紹介してきたのだが、卒業校はすなわち「甲子園初出場校」となる。

 そこで、毎年、甲子園初出場校はどれくらいの数が出現しているのかを調べてみた。

 なお、「悲願校」は「春夏通じて甲子園出場がない高校」を対象としている。つまり、夏の甲子園出場はないものの、春は過去一度、出場している高校は悲願校の対象にはならない。春と夏、どちらか一度でも甲子園出場経験があれば、それは“恵まれていること”という認識だからだ。

 よって、今回もあくまでも悲願校企画の参考資料として調べるため、対象としたのは「春夏通じての初出場校」とした。また、資料として比較を公平にするため、対象期間は春夏いずれの結果も出ている2007年から2106年の10年間とした。それでは早速、夏の甲子園から。

夏の甲子園・春夏通じての初出場校数


2007年:1校
2008年:5校
2009年:11校
2010年:5校
2011年:9校
2012年:4校
2013年:7校
2014年:5校
2015年:2校
2016年:4校

 この10年の場合、夏の甲子園での「初夏通じての初出場校数」は年平均で5.1校。出場校が増える記念大会を一度挟んでいるが、単純に出場49校として計算すると毎年約10パーセントが春夏通じての初出場校となる。

 確率としては一瞬、低く感じるかもしれないが、毎年10パーセントは初出場校で、初出場校ゼロの年がない、というのは、あらためて高校野球の強豪校の入れ替わりの激しさ、競争の厳しさを示しているようで興味深い。

センバツ・春夏通じての初出場校数


 次にセンバツにおける「「初夏通じての初出場校数」を見てみよう。

2007年:7校
2008年:4校
2009年:1校
2010年:6校
2011年:6校
2012年:4校
2013年:8校
2014年:6校
2015年:4校
2016年:3校

 センバツも初出場校ゼロの年はなし。年平均だと4.9校が春夏通じての初出場校。夏同様、記念大会など出場校数が変わる年もあるが、出場32校を基本として単純に計算した場合、割合は16パーセント。夏よりは若干、確率は上がる。

 しかし、この10年間は21世紀枠などの特別枠が採用されている期間でもある。21世紀枠を批判するわけではないが、実力、結果以外の内容が考慮される余地が大きいのは確か。そこで特別枠での初出場校を抜いた数を調べると以下のようになる。


センバツ・春夏通じての初出場校数(一般枠)


2007年:4校
2008年:2校
2009年:0校
2010年:4校
2011年:3校
2012年:2校
2013年:5校
2014年:4校
2015年:3校
2016年:1校

 見ての通り、一般枠での春夏通じての初出場校に絞ると数はグッと減り、出場校ゼロの年もあった。年平均は2.6校。出場32校とした場合の割合は8パーセントである。

 センバツは都道府県によっては一度負けても敗者復活戦などが設けられているケースもあるが、一方で各都道府県の上位チームが出場する地区大会での上位進出、好結果が求められる。それだけにやはり甲子園未経験校が勝ち抜くのはなかなか難しいのだろう。

 そう考えると、かつてセンバツの出場経験は多いが夏の甲子園出場はない、というチームの典型だった国士舘や二松学舎大付が、ともに秋も地区大会がなく都道府県大会で完結する東京の高校であることは、なんとなく示唆的である。

 以上の結果を踏まえると、若干の差ではあるが、悲願校が「卒業」を狙うのは、やはり夏が有利。この夏、いくつの卒業校が出るかを楽しみに待ちたい。


文=田澤健一郎(たざわ・けんいちろう)

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