8月に入ってすでに4試合に登板するも、直近2試合は救援失敗(8月7日現在)。どちらも勝敗を覆す致命傷を負い、初めて月間の失点は2ケタに達した。8月、すべての登板での失点に山崎も「これが受け入れざるを得ない現実」とコメント。ベンチでは涙ぐむ姿が映し出されていた。
最近に限らず、そもそも今シーズンの山崎は明らかに苦しんでいる。すでに25セーブを記録しているものの、DeNAファンは昨年の倍近い失点シーンを目撃している。
一体、今シーズンの山崎に何が起こっているのか。
コアなDeNAファンからすると、昨年の山崎との違いは歴然としているのではないだろうか。それは、解説者がつねに投手に対して指摘する悪いポイント、「投球が高めに浮く」「球威がない」「変化球のキレがない」と同じだ。
直近の登板でも、満塁でボールが甘く入り痛打された場面は記憶に鮮明だろう。また「康晃ジャンプ」で登場直後、最初のバッターを四球で歩かせる場面もあり、いずれも昨年の山崎とは大違いだ。
また解説者はこぞって「昨年ほどの球威がない」と指摘する。球威とは科学的根拠に裏づけられたものではないものの、様々な視点から見たエキスパートに「球威が落ちている」と言わしめるには、何か明確な差があるに違いない。
山崎本人も「投げたい所に投げられていない」とコメントしている。「制球の乱れ→コースを気にして腕の振りが鈍くなる→球威が落ち、変化球はキレがない」といった悪循環をきたしている可能性も否めない。
ファンからは「休養を取らせるべき」という声が多い。
確かに昨シーズンは、初めてのプロの世界でシーズンをまっとう。しかもルーキーイヤー・最多セーブ記録を打ち立てた。
その翌年だけに、体に対する疲労などの影響があり、これまでと違ったケアが求められているに違いない。
しかし、チームは今、念願のCS出場が視野に入りつつある。CS出場を確実にするためには、山崎の復活を願うほかない。
文=元井靖行(もとい・やすゆき)