【2018年夏の甲子園 徳島みどころ】秘密兵器でなくなった上原の投げっぷり 本塁打数四国一の湯浅は割切れるかが鍵
◎投手編〜「秘密」でなくなった鳴門・上原
昨秋に続き春も県大会を制し、文句なしの徳島大会トップシードを獲得した鳴門。
秋の立役者は2年生左腕の西野知輝だったが、春の殊勲功はこれまでほとんど登板機会のなかった3年生右腕・上原諒大であった。
しかもこの上原、投げっぷりがソフトバンクの守護神・森唯斗(海部出身)のように気持ちが備わっている。
回転のかかったストレートは最速142キロ以上に打者手元で押し寄せ、縦変化も腕を振った中でよく落ちる。
首脳陣は「秘密兵器」と上原のことを証するが、こうなるともはや秘密ではない。
立派なエースである。
■「秘密兵器」またしても板野に
では、真の「秘密兵器」はどこに? 今年も板野にその選手がいた。
176センチ78キロ右腕の清水大輝。
6月の総体協賛ブロック大会では、日本航空石川に投げ勝った城東の武口哲也が登板しなかったとはいえ、3安打完封。
130キロ中盤の投げっぷりいいストレートを武器に森井絃斗(セガサミー)の負傷時にエースだった最速142キロ右腕・安藝龍馬を中堅手兼2番手投手に追いやる活躍を見せている。
最速141キロ右腕・立木遼(脇町)も腕振りの鋭さは上原、武口と双璧。
現在状態を崩しているが湯浅陽一郎(城北)も最速140キロを出す。
左腕では181センチ85キロの藤田淳平(川島)が最後の夏にかける。
さらに2年生右腕では浮橋幸太(富岡西)や近藤駿(徳島科学技術)も140キロに迫るストレートを持つ。
なお、最速140キロで「水野雄仁(元巨人)2世」の期待も大きい池田の2年生右腕・白川恵翔は、春先の練習試合で死球を受け骨折。
すでに練習には復帰しているが「無理はさせられない」と井上力監督は慎重に起用する構えだ。
野手編〜本塁打数は四国ナンバーワンだが
以前、本誌でも紹介した生光学園の大型外野手・湯浅麗斗。
高校通算本塁打は40本に迫り、四国ナンバーワンをキープしているが、最近の試合ではフォームに悩んでいるのか、プレーに覇気が見られない。
湯浅の前を打ち、高校通算30本塁打を視野に入れる山口留以は典型的な技術屋タイプ。
ただ、同じことを湯浅に求めている人は誰もいない。
まずはシンプルに自分のコースを決め、そこにきたボールを思い切り振り、守備もガムシャラにボールを追う。
成績を出すのはそれからである。
■コンバートで急成長
これに対し、思い切りよくプレーすることで局面を打開した選手たちもいる。
富岡西の小田倭がその好例。
小川浩監督はこの冬、一塁手から中堅手に小田をコンバート。
守備への負担が減ったことで春以降は三塁手の佐藤亮太とともに本塁打を量産している。
遊撃守備には定評のある坂東隼人(徳島商)や渋みのある2年生二塁手・塩唐松宏将(鳴門)、強肩の湯浅龍星(新野)、張大地(城南)、1番捕手の吉田直樹(池田)、俊足自慢中堅手の武市進我(城東)、高岡玄地(新野)あたりも、思い切りを前面に出して、頂点に向けて勢いをつけたい。
大会展望〜第1シード・鳴門が崩れれば、一気に混戦へ
秋春連続で県大会を制している第1シード・鳴門が本命となるのは間違いない。
ただし、彼らには5連覇当時のような圧倒的なタレント力はなく、県総体ブロック大会でも板野に敗戦。
森脇稔監督が仕掛ける「負けない野球」が徹底できなければ、鳴門渦潮、生光学園、城東と続くシード校はもちろん、板野、富岡西、徳島商、川島などのノーシード勢にも一気に頂点獲得のチャンスが巡ってきそう。
まずは6月25日の組み合わせ抽選会で決まる鳴門の初戦対戦相手に注目したい。
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