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佐々木朗希(大船渡)は156キロ、石川昂弥(東邦)は3安打。侍ジャパン壮行試合・注目選手チェック

文=勝田聡

佐々木朗希(大船渡)は156キロ、石川昂弥(東邦)は3安打。侍ジャパン壮行試合・注目選手チェック
夏の甲子園終了後の恒例となりつつある、侍ジャパン高校日本代表対大学日本代表の壮行試合。今年は8月26日に神宮球場で行われた。

 試合は既報の通り5対5の引き分け。4度目の開催となったこの壮行試合で初めて高校代表が敗戦をまぬがれた。

 さて、この試合には今秋のドラフトを賑わせそうな選手たちも、数多く出場していた。その戦いぶりをまとめてみたい。

佐々木朗希(大船渡高)は1回2K、最速156キロ!


 なんといっても大注目は高校日本代表の佐々木朗希(大船渡高)だ。先発投手としてマウンドに登ると、1回を無安打無失点、2奪三振と完璧な投球を見せた。

 160キロを超えるストレートはなかったものの、最速は156キロを計測。1イニングだけの登板とはいえ、ストレートの平均は153.8キロと存在感を示した。

 また、2つの三振はストレート、フォークと異なる球種でともに空振りで奪ったもの。ストレート、変化球とも大学日本代表に通用したのは、自信となったはずだ。

 本来であればもう1イニング投げる予定だったが、右手にできた血マメの影響もあり1回で降板。しかし、十分に実力を見せつけたと言っていい。

 高校日本代表の2番手として登板した左腕・宮城大弥(興南高)は、この試合に登板した投手のなかで最長の3イニングを投げた。3イニング目に連打と一発を浴び3失点(自責2)だったが、5三振を奪った。ストレートとスライダーでともに空振りを奪ったのは収穫と言える。

 なお、佐々木とともに注目されていた奥川恭伸(星稜高)は、甲子園の疲労を考慮して登板していない。

大学日本一のエース・森下暢仁(明治大)は2回1失点


 大学日本代表の先発はこちらも大注目の森下暢仁(明治大)だった。森下は「(佐々木に)スピードでは勝てないので、質で勝負します」と語っていたが、最速151キロを記録。110キロ台のカーブを織り交ぜながら緩急を使い、高校日本代表打線を翻弄した。

 全体的には高めに球が浮いていたが、春の大学日本一に輝いた意地を見せ、2回1失点(自責0)。1失点も味方守備の乱れから失ったものであり、打ち込まれたわけではない。

 他の大学日本代表投手のドラフト候補では、吉田大喜(日本体育大)が8回に登板。最速151キロのストレートとフォークの2球種で3者凡退に仕留める上々の投球内容を披露した。ストレートが真ん中付近に集まっていたが、球威が勝っており、とらえられた当たりはなかった。

石川昂弥(東邦高)が3安打猛打賞


 高校日本代表の野手陣では、4番に座った石川昂弥(東邦高)が目立った。両軍合わせて唯一の3安打猛打賞を記録するなど、夏の甲子園に出場できなかった鬱憤を晴らした。

 1打席目、3打席目はストレートを弾き返し、2打席目はカーブを上手くすくい上げたもの。緩急に対し対応力の高さを見せている。また、日本ではあまりいないノーステップに近い打ち方だが、今後もフォームを変えずに戦うのか注目したい。

 奥川の女房役として注目度の高かった山瀬慎之助(星稜高)は肩で見せた。1年生ながら大学日本代表入りを果たした田中幹也(亜細亜大)の二盗に対し「強肩発動」。やや送球が高めに逸れたものの、盗塁を阻止している。また試合終盤にはスクイズもきっちりと決め、小技ができるところもアピールした。

「打てる捕手」海野隆司(東海大)が本塁打


 大学日本代表の野手で目立ったのは海野隆司(東海大)。郡司裕也(慶應義塾大)や佐藤都志也(東洋大)と並んで「打てる捕手」として名高い選手だ。

 1打席目で外角のストレートを中堅やや右へ弾き返すシングルヒットを記録する。続く打席では、見逃せばボールになりそうな高めのストレートを左翼スタンドへ豪快な本塁打。守備でも一塁へ矢のような牽制を見せた。まさに本領発揮といったところだろう。

 他には柳町達(慶應義塾大)が佐々木に三振を喫したものの、2打席目では反撃の糸口となる二塁打を放っている。

 過去を振り返ってみても、壮行試合からは多くのプロ野球選手が誕生している。およそ2カ月後に迫ったドラフトで、今年は何人の選手が指名されるのだろうか。そのときを楽しみに待ちたい。

文=勝田聡(かつた・さとし)

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