万人に好かれるコミカルな風貌。アメリカでは『トイ・ストーリー』のポテトヘッド、日本ではハクション大魔王。日米アニメの人気キャラによく似ているウィーラーは、優勝戦線の先頭を走る楽天に欠かせない「強打の主軸打者」「チームきってのムードメーカー」「外国人トリオのリーダー格」として活躍する。
仲間の活躍には自分のことのように大はしゃぎ。理不尽な判定には険しい表情で率先して怒りを表明する。おとなしかったチームに「喜怒哀楽」を注入し、戦う集団へと導いてきた古参の助っ人は、交流戦でも勝負強い打棒で大暴れしてくれるはずだ。
来日3年目の今シーズンは、まさかのスランプで始まった。
昨オフには満足に食事も摂れないほどの体調不良に見舞われ、体重が減ったという。これが影響したのか、オープン戦は45打席で打率.205、本塁打ゼロ。開幕後もしばらく快音聞かれず今季初安打は20打席目。タイムリーは実に59打席目。5月5日までの116打席で打率.173、6打点、1本塁打と低空飛行が続いた。
しかし、5月6日以降の73打席では打率.375、13打点、7本塁打。見違える成績でV字回復に大成功した。
慣れ親しんだ4番に今季初起用されたことも復調のきっかけになったのだろう。来日1年目に4度の登録抹消を経験するなど苦労を重ねた経験も生きたのかもしれない。ウィーラーの完全復活で、楽天打線はますます切れ目がなくなり、死角なしの無双状態に入ってきた。
今シーズンのウィーラーはいいところで本塁打を放っている。
3月、4月と本塁打を量産した2番・ペゲーロの一発が止まったタイミングで、それを補うかのごとくウィーラーのバットが火を噴く。
5月11日のロッテ戦、14日のソフトバンク戦、23日のオリックス戦では初回に先制本塁打。23日のオリックス戦では金子千尋から2打席連続で一発を放つ勝負強さも披露した。16日の日本ハム戦では逆転の3ランをかっ飛ばした。
ウィーラーと交流戦との相性は抜群だ。昨年は能見篤史(阪神)、内海哲也(巨人)、山口俊(当時DeNA)らから合計7本塁打を放ち、レアード(日本ハム)、メヒア(西武)、松田宣浩(ソフトバンク)らを抑えて「パ・リーグの交流戦本塁打王」に輝いた。7本塁打のうち、先制弾3本、逆転弾1本、同点弾1本と、要所で放った価値の高い一発だった。
あの活躍を今シーズンの交流戦でも披露してくれるはずだ。
文=柴川友次
NHK大河ドラマ「真田丸」で盛り上がった信州上田に在住。真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴を定点観測するブログを運営中。