一昨年に「途中入団でホームラン王」という史上初の快挙をやってのけたメヒア。しかしそれにあぐらをかいて、2年目は体重増でキャンプイン。結局その時の調整不足が尾を引いて、満足な成績を残せなかった。
球団も同じ轍は踏まないとばかりに、昨オフは帰国したメヒアをメールで管理することに。ある意味で、広岡達朗・森祇晶監督時代に戻ったかのような徹底ぶりである。
ただ、そのかいあってベストな体調で今季に臨むことかできたのだから、球団としてもメヒアとしてもWin-Winだろう。
夫人のマイテさんが第一子を妊娠したことも、メヒアに大きな変化をもたらしたと言えるだろう。最近はヒットやホームランを打つたびに「子どものためにがんばる」と口にしており、産後の溺愛っぷりが今から想像できるほどだ。
どのプロ野球選手にも共通するのは「子どもにいいところを見せたい」というもの。メヒアも例に漏れず、子どもの存在をしっかりと自らの力に変えている。
出産予定日は9月20日。シーズン佳境だが、チームを離れて気持ちよく出産に立ち会うためにも、引き続きの活躍が求められる。
またメヒアには、「子どものために」のほかにもう一つ口ぐせがある。「西武のみんなと優勝したい」というもの。そして、その気持ちを証明するかのような打撃を4月24日の楽天戦で見せた。
西武の7得点すべてがメヒアのバットから生まれたのだが、「先制ソロホームラン」「勝ち越し2ランホームラン」「逆転グランドスラム」と打つ度に打点が増えている。
チームが点を取られても、最後まで決してファイティングスピリットを失わない。「勝ちたい」という欲も、メヒアの好調を後押ししている。
誰もが認める西武の名助っ人外国人と言えば、アレックス・カブレラとオレステス・デストラーデだろう。ともにホームラン王に輝くなど大活躍しており、球団史に名を刻んでいる。
メヒアも来日1年目にタイトルを獲ったことで、彼らに負けない能力があることを示した。しかし2人がメヒアと異なるのは、チームをリーグ優勝、そして日本一に導いているところ。だからこそ地蔵が作られたり、今なお後世に語り継がれたりしているのだ。
この名助っ人の系譜にメヒアが連なることができるかは、気力みなぎる今季にかかっていると言っても過言ではないだろう。
文=森田真悟(もりた・しんご)