日米野球が終わり、プロ野球界は本格的にオフシーズンに突入した。それはすなわち、2017年のドラフトで指名された選手は初めてのシーズンを終えたことを意味する。
各チームのルーキーたちはどのような結果を残したのか。そして、彼らの成績から見て、昨年のドラフト結果はどうだったのか。今回はセ・リーグの昨年のドラフトを独断と偏見で採点したみた。
採点は100点満点。その100点をドラフト指名人数で割り、各人の持ち点を算出。小数点以下は切り捨てとした。その持ち点を成績及び、期待度で得点をつける。また育成指名は指名人数に含めず、支配下登録された選手だけを15点満点で採点。残した成績に応じて単純に加算する。
あくまで1年目終了時点での評価となるので、ドラフト時の評価や数年後に行われる最終的な評価とはまったく違うものであることを理解したうえで読み進めてほしい。
■広島の2017年ドラフト採点:54点
セ・リーグ3連覇を果たした広島はルーキーの1軍出場が1試合もなかった。そのために点数はワーストとなっている。ただ、それはルーキーが期待はずれだったということではなく、育成重視の指名を行ったからにほかならない。また、それだけ現有戦力が充実していることの裏返しでもある。
2軍での成績を見ると1位の中村奨成が83試合、4位の永井敦士が62試合と多くの試合に出場している。しかし、高卒1年目ということもあり、数字的には特筆すべきものはない。来シーズンは2軍での成績を上げ、1軍昇格を果たしたいところだ。
1位:中村奨成(広陵高)
83試合(2軍):打率.201/4本塁打/16打点/6盗塁
2位:山口翔(熊本工)
5試合(2軍):1勝2敗/防御率6.43
3位:ケムナ誠(日本文理大)
15試合(2軍):0勝1敗/防御率4.57
4位:永井敦士(二松学舎大付高)
62試合(2軍):打率.149/2本塁打/7打点/1盗塁
5位:遠藤淳志(霞ヶ浦高)
4試合(2軍):0勝1敗/防御率2.25
6位:平岡敬人(中部学院大)
12試合(2軍):0勝5敗/防御率5.40
■ヤクルトの2017年ドラフト採点:70点
清宮幸太郎(日本ハム)の抽選を外したものの、外れ1位で村上宗隆を引き当てたヤクルト。その村上は2軍で好結果を残すと、1軍でも初打席初本塁打を放つ鮮烈なデビューを飾った。シーズン終了後もフェニックス・リーグでは同リーグ新記録となる10本塁打を記録し、その存在感を見せつけている。来シーズンはレギュラー争いに参戦しそうな勢いだ。
また2位の大下佑馬も先発、中継ぎとさまざまな役割をこなし、25試合に登板。チームの2位浮上に貢献している。4位の塩見泰隆、6位の宮本丈らも1軍での経験を積んだ。来シーズンは1軍に定着したい。
1位:村上宗隆(九州学院高)
6試合:打率.083/1本塁打/2打点/0盗塁
2位:大下佑馬(三菱重工広島)
25試合:2勝1敗5ホールド/防御率3.09
3位:蔵本治孝(岡山商科大)
21試合(2軍):2勝1敗1セーブ/防御率1.29
4位:塩見泰隆(JX-ENEOS)
16試合:打率.040/0本塁打/0打点/0盗塁
5位:金久保優斗(東海大市原望洋高)
1試合(2軍):0勝0敗/防御率0.00
6位:宮本丈(奈良学園大)
26試合:打率.220/0本塁打/6打点/0盗塁
7位:松本直樹(西濃運輸)
6試合:打率.000/0本塁打/0打点/0盗塁
8位:沼田拓巳(石川ミリオンスターズ)
1試合:0勝0敗0S/防御率9.00
■巨人の2017年ドラフト採点:68点
社会人出身の3位・大城卓三、5位・田中俊太が1軍の戦力となった。とくに打撃がいい大城は小林誠司から正捕手の座を奪い取る勢いを見せており、「打てる捕手」としての期待が高まっている。また、田中俊は本職の二塁だけでなく三塁でも起用されており、首脳陣としては使い勝手のいい選手となりそう。まずはバックアップからレギュラーを目指す。
一方、1位の鍬原拓也は物足りない数字に終わった。しかし、今秋のキャンプでは守護神候補として練習を積んでいる。カミネロが退団し、マシソンは手術明け。現時点で守護神の座は空席だ。これからのアピール次第では鍬原が手中に収めるかもしれない。
1位:鍬原拓也(中央大)
6試合:1勝2敗/防御率6.83
2位:岸田行倫(大阪ガス)
51試合(2軍):打率.256/3本塁打/28打点/0盗塁
3位:大城卓三(NTT西日本)
83試合:打率.265/4本塁打/17打点/0盗塁
4位:北村拓己(亜細亜大)
1試合:打率.000/0本塁打/0打点/0盗塁
5位:田中俊太(日立製作所)
99試合:打率.241/2本塁打/12打点/6盗塁
6位:若林晃弘(JX-ENEOS)
17試合:打率.056/0本塁打/0打点/0盗塁
7位:村上海斗(奈良学園大)
15試合(2軍):打率.162/2本塁打/3打点/0盗塁
8位:湯浅大(健大高崎高)
18試合(2軍):打率.133/0本塁打/2打点3盗塁
■DeNAの2017年ドラフト採点:71点
1位の東克樹が11勝をマークし、ローテーションに定着した。故障の影響で辞退することになったが、日米野球の日本代表メンバーにも選出されており、1年目から球界を代表する選手へとのし上がった。
2位の神里和毅は骨折の影響でシーズン途中のリタイアとなったが、86試合で打率.251、5本塁打、21打点と結果を残している。また、15盗塁をマークする足を武器としており、来シーズンは盗塁王を狙いたい。
下位指名ではあるが、7位の宮本秀明、8位の楠本泰史は1軍での出場機会を多く得た。来シーズンはレギュラー争いに加わりたい。
1位:東克樹(立命館大)
24試合:11勝5敗/防御率2.45
2位:神里和毅(日本生命)
86試合:打率.251/5本塁打/21打点/15盗塁
3位:阪口皓亮(北海高)
18試合(2軍):3勝9敗1セーブ/防御率6.15
4位:齋藤俊介(JX-ENEOS)
1軍、2軍出場なし
5位:櫻井周斗(日大三高)
18試合(2軍):2勝3敗/防御率7.03
6位:寺田光輝(石川ミリオンスターズ)
13試合(2軍):0勝1敗/防御率6.00
7位:宮本秀明(パナソニック)
21試合:打率.160/2本塁打/2打点/4盗塁
8位:楠本泰史(東北福祉大)
56試合:打率.205/0本塁打/2打点/2盗塁
9位:山本祐大(滋賀ユナイテッドベースボールクラブ)
2試合:打率1.000/1本塁打/2打点/0盗塁
■中日の2017年ドラフト採点:69点
ドラフト1位の鈴木博志が序盤からセットアッパーとして結果を出し、シーズン途中からはクローザーも任された。しかし打ち込まれるケースが多く、定着とはならなかった。その後、夏場には1カ月ほどファームでの調整期間もあったが、1年目から53試合に登板したのは大きな財産となったはず。来シーズンは年間を通して1軍で戦いたい。
2位の石川翔、4位の清水達也、6位の山本拓実ら3人の高卒ルーキーも揃って1軍登板を果たした。来シーズンもファームでの登板が中心と予想されるが、1日でも早く1軍の戦力となることに期待がかかる。
1位:鈴木博志(ヤマハ)
53試合:4勝6敗4セーブ12ホールド/防御率4.41
2位:石川翔(青藍泰斗高)
1試合:0勝0敗1ホールド/防御率0.00
3位:高松渡(滝川二高)
3試合(2軍):打率.000/0本塁打/0打点/0盗塁
4位:清水達也(花咲徳栄高)
2試合:0勝0敗/防御率9.00
5位:伊藤康祐(中京大中京高)
93試合(2軍):打率.198/2本塁打/15打点/4盗塁
6位:山本拓実(市西宮高)
1試合:0勝0敗/防御率0.00
■阪神の2017年ドラフト採点:60点
1位から5位まで大卒、社会人と即戦力候補を獲得したが、1軍の戦力となった選手はいなかった。しかし、3位の熊谷敬宥、4位の島田海吏は足を武器に2軍では結果を残しており、来シーズンはレギュラー争いに加わってきそうだ。
1位の馬場皐輔も今シーズンはローテーション入りとならず、ほぼファーム暮らしとなった。小野泰己も1年目に結果は出せなかったが、2年目に飛躍した。来シーズンは先輩同様にローテーション入りを目指す。
1位:馬場皐輔(仙台大)
2試合:0勝1敗/防御率5.19
2位:高橋遥人(亜細亜大)
6試合:2勝3敗/防御率3.63
3位:熊谷敬宥(立教大)
19試合:打率.231/0本塁打/2打点/3盗塁
4位:島田海吏(上武大)
12試合:打率.200/0本塁打/1打点/0盗塁
5位:谷川昌希(九州三菱自動車)
7試合:1勝1敗/防御率7.82
6位:牧丈一郎(啓新高)
3試合(2軍):0勝1敗/防御率12.00
文=勝田聡(かつた・さとし)