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これまでにも采配や首脳陣批判をしてスタメンを外されたり、2軍に落とされたり、罰金などの処分を受けた選手を何度も見てきたが、報道を見る限りサファテには何も処罰はなかったようだ。
そして、この日を境にソフトバンク先発投手陣、そして首脳陣の投手の起用法が明らかに変わった。翌2日はバンデンハークが8回1失点。最後はモイネロが締めて5対1で勝利し、楽天から首位の座を奪い取る。3日は東浜巨が7回途中まで1失点に抑え、連勝を果たした。
ところが、炎獅子ユニフォームを着用してから驚異的な追い上げを見せる西武との3連戦（4日〜6日）は1勝2敗と負け越し。しかし、この3連戦こそ熾烈なV争いから抜け出すための伏線があった。
まず初戦。谷間とはいえ2軍でもショートリリーフばかりだった寺原隼人が先発。序盤で大差をつけられ、勝ちパターンの中継ぎ陣は休養できた。
第2戦は6点をリードするも岩嵜翔、嘉弥真新也、さらにサファテまで打たれて土壇場で追いつかれる。このまま逆転負けを許せばさらにチーム内の空気は悪化しそうなケースだが、延長10回に打線が奮起してなんとか勝利。勝利投手となったサファテも野手陣に感謝するコメントを残した。第3戦は武田翔太が5回を持たずにKO。初戦同様勝ちパターンの中継ぎ陣が温存できた。
この西武3連戦で、ソフトバンクは登板過多の中継ぎ陣を西武戦で休ませ、サファテの失点を打撃陣が挽回した。つまり、言い方は悪いが捨てゲームを作る余裕ができ、サファテを助けることでさらなる結束をチームにもたらした3連戦だったと思う。
8日からのロッテとの3連戦は、初戦は石川柊太が8失点KO。第2戦はバンデンハーク、第3戦は東浜が長いイニングを投げ、初戦で温存したリリーフ陣がきっちり抑え連勝。12日からの日本ハム戦も初戦は千賀滉大、第2戦は武田翔太と先発が踏ん張り、中継ぎがフル回転で連勝を決めた。この間、「疲れている」はずのサファテが4戦連続セーブを記録。きっちりと役目を果たした。
ただ、それよりも印象的なサファテの姿が見られたのは日本ハムとの第3戦。サファテは試合開始からベンチ入りしていたもの「上がり」モード。野手陣と楽しそうにハイタッチする姿が、何度もテレビカメラに映し出された。そして試合は1対7と大敗した。
あのサファテのコメントがあった翌日、8月2日から8月20日までのチーム成績は12勝4敗。ここで、開幕から8月1日までと、8月2日以降の主な中継ぎ陣の登板数と、登板数の割合を見てみよう。
■岩嵜翔
8月1日まで：登板数49（1.94試合）
8月2日以降：登板数7（1.98試合）
■森唯斗
8月1日まで：登板数46（2.07試合）
8月2日以降：登板数5（2.17試合）
■嘉弥真新也
8月1日まで：登板数37（2.06試合）
8月2日以降：登板数6（2.58試合）
（カッコ内は全試合数における登板数割合）
僅かではあるが登板の割合が減っている。そして、サファテはというと……。
■サファテ
8月1日まで：登板数43（2.21試合）
8月2日以降：登板数10（2.09試合）
なんと最多の10試合に登板。しかも1勝9セーブ！ それだけクロスゲームが多い証拠だが、しっかり結果を残している。
「中継ぎはみんな疲れている。先発陣は何かを感じてほしい」という苦言は諸刃の刃だった。もしチームの結束に悪い影響を及ぼし、夏場に失速することになれば、A級戦犯にされる可能性だってあったかもしれない。
しかしサファテの発言でチームの結束は強くなった。疲れているとは思うが、サファテ先生。あと2カ月、頑張ってください。
（成績は8月21日現在）
文＝溝手孝司（みぞて・たかし）
札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。9月末に福岡での仕事が決まり、今年初福岡はシーズン大詰めの25、26日。1999年の王貞治監督初胴上げの9月25日から18年。この日に胴上げ、見たいなぁ。
