稲葉篤紀監督率いる侍ジャパンの船出となったアジア プロ野球チャンピオンシップ。24歳以下の選手にオーバーエイジ枠の選手を加えた若侍たちが、見事、優勝を勝ち取った。毎試合、多くのヒーローが誕生したが、そのひとりが外崎修汰(西武)だ
2014年のドラフト3位で富士大から西武に入団した外崎は、3年目の昨季、レギュラーを獲得。自己最多の135試合に出場し、打率.258(438打数113安打)、10本塁打、48打点、23盗塁と各部門ともにキャリアハイの成績を残す。守備でも外野(118試合)、二塁(50試合)、三塁(27試合)とマルチにポジションをこなして貢献した。
本誌『野球太郎No.13 2014ドラフト総決算&2015大展望号』では、指名時の外崎をどう評価していたのか。巻頭特集の「プロ野球12球団ドラフト採点」ページを見ると、守備と足は1年目から通用すると評価しつつ、体力面を不安視した上で次のように見立てている。
「打撃も最初は苦労するだろう。しかし、先々を考えれば大きな補強と言え、将来的に西武の顔となっている可能性もある」
現時点では西武の顔とまではいかないが、侍ジャパンで活躍したこともあり、今季にかかる期待は大きい。ひょっとすると近い将来、秋山翔吾や浅村栄斗らを出し抜いてトップスターになる可能性もある。外崎に対する『野球太郎』の予言はおおよそ当たっている……と言っていいだろう。
巨人の捕手は、小林誠司が阿部慎之助の後継者に決定かと思われた。その矢先に彗星の如く現れたのが宇佐見真吾だ。2015年のドラフト4位で城西国際大から巨人に入団した宇佐見は昨季、1軍初出場。出場数は21試合で規定打席には大きく及ばないが打率.350(40打数14安打)、4本塁打、8打点の成績を残し、「打てる捕手」としてのインパクトを与えた。
その宇佐見は『野球太郎No.017 2015ドラフト総決算&2016大展望号』巻頭の「ドラフト指名パーフェクト名鑑」ページで「強肩強打のバランスが取れている」「攻守で1軍で通用するまでには数年はかかりそうだが、それは誰もが通る道。素材のよさを磨けば阿部の後継者になれる」と紹介されている。
『野球太郎』は「打てる捕手」として評価した上で、数年で阿部の後継者になれると予言していた。とはいえ、わずか2年で1軍に昇格し、正捕手争いをするようになったのは、予言以上の成長速度。今季は小林との正捕手争いに注目だ。もしかすると、阿部の後継者として正捕手に収まるのは宇佐見かもしれない。
昨季は川端慎吾、畠山和洋が開幕早々に離脱したヤクルト。その後も雄平、秋吉亮と主戦力が次々に戦列を離れる事態に陥った。一方で、その隙に試合経験を積み、期待感が増した選手もいる。山崎晃大朗もそのひとりだ。
山崎は、7月25日以降は2試合を除いて中堅手としてスタメンに名を連ねた。年間を通じて59試合に出場。打率.242(219打数53安打)、1本塁打、13打点と及第点の成績を残した。2015年のドラフト5位と下位指名ながら2年目で1軍に定着したかっこうだ。
その山崎を『野球太郎No.017 2015ドラフト総決算&2016大展望号』では、「12球団ドラフト採点」ページで「会心の指名」としてピックアップしている。
「(ヤクルトは)1番・中堅が空いている。オリックスを退団した坂口智隆を獲得したが山崎も争いに割って入る可能性がある。外野の守備は横の動きが抜群。反面、縦の動きと送球の判断力に若干不安がある」
『野球太郎』はこのように守備の不安に触れつつも、坂口とのレギュラー争いを予言していた。昨季は打球判断、送球判断で随所にまずいプレーが見られたのは事実。しかし、故障者が出たための繰り上がりとはいえ、2年目にして中堅を任され続けたことは立派だ。
今季はバレンティンが残留し、坂口、雄平も健在。あらためてレギュラー争いに挑むことになる。青森山田高、日本大の後輩でもあり、昨季、新人王を獲得した京田陽太(中日)に負けるわけにはいかない。レギュラー争いに勝ち、先輩の意地を見せたい。
今回は2014年のドラフトから外崎、2015年のドラフトから宇佐見、山崎を取り上げた。いずれも上位指名ではないが、早くから1軍で結果を残している。そんな選手たちのことも『野球太郎』はしっかりと見立て、活躍を予言していた。この予言は2016年のドラフト指名選手でも的中しているだろうか。次回は2017年のルーキーのドラフト指名時の見立てを検証する。
文=勝田聡(かつた・さとし)