まず、グッズを語る前に広島のマスコットキャラクターである、カープ坊やを紹介せねばなるまい。
カープ坊やとは1975年に誕生した、現在使用されているマスコットの中で最古のキャラクターである。
バットを構えた少年。その加工に適したシンプルなキャラクターが、時に所属選手に成り代わり、時に他のスポーツとコラボレーションしたりと、様々なアレンジで人気を上昇させている。
広島のシンボルとも表現できるカープ坊やは、球団グッズのほとんどにプリントされている。カープ坊やのデザインの秀逸さこそが、グッズ人気の一因であるのではないだろうか。
カープ坊やの存在感も然ることながら、毎年新商品販売とともに発売する限定商品の奇抜さも人気に関連していると、言えるだろう。
毎年、即日完売となる限定商品、この限定商品には時として度肝を抜かれる。ではその幾つかを紹介しよう。
2008年 カープギター¥68,000
奥田民生が使用したカープギターの復刻版。限定48本の希少品。
2009年 カープ地下足袋 ¥12,000
限定100足の販売。白地に鮮やかな赤のラインとカープ坊やがプリントされたド派手な地下足袋。普段遣いには高度なファッショセンスが問われる。
2015年 特大メガホン ¥2,500
カラーコーンでありながら、キャップを外すと世界最大級のメガホンとなる。ただし、球場内への持ち込みは不可。
2015年 それ行けカープ白線マーカー ¥18,000
学校の体育の時間で活躍したライン引きが、カープ坊や仕様で限定20台で販売。一般生活の上での用途は不明。
限定以外では、3色全てが赤の3色ボールペンや、赤ふんどしなど、驚きを隠せない商品はまだまだ存在する。
このような奇をてらった商品が、即座に完売してしまうのだからその人気は恐ろしい。用途すらも無視した省みぬスタイルが一瞬の笑いを求めるファンの支持を得ているのだろうか? 入手困難な限定グッズを持つことで得ることができる優越感も、購買意欲をそそられるモノがあり、ファン心理を煽っている側面があるのも間違いない。もはやカルト教団並のそれと言っても過言ではないだろう。
いずれにせよ、好きなチームが新シーズンの商品を出せば、自ずと財布の紐が緩むもの。新しいシーズンに向け新しい商品を手に入れるのは野球ファンの楽しみの1つではないだろうか。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)