前回の本連載ではイチロー(マーリンズからFA)のNPB復帰についての可能性に触れたが、イチローならずとも日本人メジャーリーガーの動向は気になるところ。彼らのなかでメッツからFAとなっていた青木宣親のヤクルト復帰が決まった。
実に7年ぶりの日本球界。昨季、ダントツの最下位に沈んだ古巣を元気にするために、メジャーで培った経験と技術をぜひ発揮してもらいたい。
背番号は「23」。メジャー挑戦直前まで背負っていた「1」は、山田哲人(ヤクルト)が譲り受けているため、入団時の「23」を再び背負うこととなった。年齢的にはベテランの域だが、初心にかえって躍動する姿を見たい。
毎年、新たな顔ぶれが揃う助っ人軍団。しかし、今季はあまり大きな話題がない。そういったときほど意外な活躍する選手が出てきそうだが、気になるのは中日が獲得した投手、ディロン・ジーだ。
メジャー通算51勝の右腕で、メッツ時代の2011年に13勝(6敗)、2013年に12勝(11敗)と2度の2ケタ勝利をマークした実力派だ。
しかも、2度目の2ケタ勝利は、2012年に受けた血栓除去手術を経てのもので、見事に復活を果たした格好。ここ数年は芳しい結果を残せていないが、来日を機に、かつての姿を取り戻してほしい。
今季のルーキーは、清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)に注目が集まっているが、話題性のまま、清宮は新人王へ駆け上がることができるだろうか。新人王レースに挑むフレッシュマンたちを見てみよう。
まず清宮のいるパ・リーグでは、昨年のドラフトで投手としてナンバーワン評価の田嶋大樹(JR東日本→オリックス)が控える。ほかにも齊藤大将(明治大→西武)、近藤弘樹(岡山商科大→楽天)といった即戦力候補もおり、パ・リーグは一筋縄ではいかない可能性が高い。
セ・リーグを見るとドラフト時に注目度が高かったのは中村奨成(広島)。しかし、高卒でコンバートも囁かれているだけに、もちろん即戦力ではない。そこで浮上するのが東克樹(立命館大→DeNA)、鈴木博志(ヤマハ→中日)ら大学、社会人出身の投手たち。即戦力の期待に応えて1年目から実力を発揮できるか。今季の新人王レースも楽しみだ。
青木のヤクルト復帰報道を目にしたときは声が出るくらい驚いたが(周りに人がいなかったのが幸い)、野球をやりたい気持ちと年齢的な問題を考えると、確かに懸命な判断だったと思う。
野球ではないが、サッカー界では長らく海外でプレーした内田篤人が古巣の鹿島アントラーズに復帰。若手に積極的にアドバイスを送っているので、青木にもそういった役割を期待したい。
頼れるベテラン、期待の若手と見どころが多岐にわたるプロ野球。今季も夢中になれること請け合いだ。
文=森田真悟(もりた・しんご)