先発投手陣の調子が上がらない阪神に光が見えた。ドラフト2位の?橋遥人(亜細亜大)がオープン戦2試合で5回を投げ、1失点と好投。フォームは違えど、細身の左腕という佇まいは阪神のエース・能見篤史を彷彿させる。
また、3月18日にはウエスタンリーグでも登板。6回途中1失点、6奪三振とここでも結果を出し、金本知憲監督が開幕ローテーション入りを示唆したほどだ。
?橋と同じ大卒ドラフト上位左腕を見ると、近年では今永昇太(2015年1位)と?口遙大(2016年1位、ともにDeNA)がモデルケースとなりそうだ。2人のルーキーイヤーのオープン戦を見ると、今永は10回を投げ防御率2.70。?口も10回を投げ防御率2.70だった。
シーズンに入ると今永は8勝(9敗)、?口は10勝(6敗)と、ともに1年目から好成績をマーク。チームのAクラス入りに貢献した。即戦力候補の大卒ドラ1として実力を発揮してみせた。
?橋も今永、?口と同じようにオープン戦での好投をシーズンにつなげたい。
ドラフト1位の田嶋大樹(JR東日本)に注目があつまるオリックスの新人選手。田嶋はさすがの投球を見せ、開幕ローテーションが当確となった。しかしオリックスの新人で結果を出したのは、田嶋だけではない。社会人出身のドラフト8位・山足達也(Honda鈴鹿)も福良淳一監督を唸らせているのだ。
山足は今春のキャンプから1軍スタート。結果を残し、降格することなくオープン戦でも起用されている。3月18日の時点で10試合に出場して打率.304(23打数7安打)と打撃が好調。本来の守備位置は二遊間がメインだが、一塁で起用されるなど首脳陣が打撃を生かすための起用法を模索している。
近年のオリックスでは、西野真弘がドラフト下位指名の社会人出身野手として開幕1軍を果たしている。ルーキーイヤーとなった2015年のオープン戦では打率.091と結果を残せなかったものの、高評価を得て1軍切符を手に入れた。開幕スタメンとはならなかったが、序盤から二塁の定位置をつかみ、故障で離脱するまでは新人王候補にも名前が挙がっていた。
社会人出身、ドラフト下位指名、内野手と共通点の多い山足も西野同様に開幕1軍から定位置獲得を目指したい。
清宮、安田のようなドラ1がオープン戦で結果を出せず、下位指名の選手が結果を出すケースは多々ある。思えば、松井秀喜(当時巨人)もルーキーイヤーのオープン戦では打率.094と大不振。大谷翔平(当時日本ハム、現エンゼルス)も打率.182と結果を出せなかった。ただ、オープン戦で結果を出せなくても、メジャーリーグの選手になれる可能性は十二分にある。結果を出せなかった選手はここで、挫けることなく、這い上がってきてほしいところ。
一方、今回紹介した?橋のように上位指名の期待に応えた選手はもちろんだが、山足のように下位指名ながら結果を出した選手はこの勢いをシーズンでもキープして、ドラフト時の低い評価は関係ない、というところをみせてほしい。
(※成績は2018年3月18日現在、写真は亜細亜大時代の?橋遥人)
文=勝田聡(かつた・さとし)