今年の高校野球界は、西東京大会に全国的な注目が集まった。要因は言うまでもなく、清宮幸太郎(早稲田実業)の存在だ。入学前から騒がれた大物ルーキーは期待通りの活躍を見せ、5年ぶりの夏の甲子園出場に導いた。だが、首都・東京を代表して聖地に向かうのは早稲田実業だけじゃない。東東京大会を制した関東一も注目に値するチームだ。
まずは、関東一の東東京大会の戦績を確認しておこう。今回はシード校として、3回戦からの登場となった。
3回戦 対海城 13−1(5回コールド)
4回戦 対大森 9−0(7回コールド)
5回戦 対東京成徳大 8−0(7回コールド)
準々決勝 対明大中野 12−0(5回コールド)
準決勝 対帝京 8−3
決勝戦 対日大豊山 14−2
初戦の対海城戦から準々決勝の対明大中野戦まで、4試合連続でコールド勝ち。ライバル校の1つ・帝京相手には、試合中盤まで拮抗した展開が続いたものの、終盤に突き放し、決勝戦進出。決勝戦は19安打14得点の猛攻で危なげない試合を見せ、見事5年ぶり6回目の甲子園出場を果たした。
特徴は何といっても、大会中にチーム打率.380をマークした強力打線だ。平均得点は10点を超えるなど、破壊力は抜群。また、決勝戦で8個の盗塁を決めた機動力も聖地で猛威をふるうかもしれない。
「足の速さは長野久義(巨人)以上」
「秋山翔吾(西武)、柳田悠岐(ソフトバンク)クラスの選手になれる」
驚きの声を発するスカウトの視線の先には、グラウンド上で異彩を放つ褐色の肌をした少年が立っていた。その名はオコエ瑠偉。ナイジェリア人の父を持つ、アスリート系外野手だ。大会中は1番を任され、打率.440、1本塁打6打点。盗塁は6個をマークし、トップバッターの役割を十二分に果たした。