ここに来てピンチに陥っているのはロッテの中軸。昨季は途中加入のペーニャが仕事をこなし、なんとか踏みとどまった。閉幕時点では「来季は開幕から活躍したい」とコメントしていたペーニャだが、契約条件の折り合いがつかなかったらしく、退団の可能性が高まってきた。
新たにメジャー42本塁打のドミンゲスが加わったものの、こちらは昨季、鳴かず飛ばずだったパラデスの穴埋めで一塁手の予定だ。
また、昨季、BCリーグ・富山GRNサンダーバーズで70試合に出場して打率.387、20本塁打を記録したペゲーロがキャンプ中にテスト合格したものの、ボルシンガー、オルモス、シェッパーズの3投手も新たに加入しており、まずは投手陣立て直しから。ペゲロは「5人目の助っ人」扱いが濃厚だ。
昨季、ペーニャ不在の最終戦で指名打者を任されたのはアジャこと井上晴哉だ。日本人最重量級の巨漢大砲として期待を集めているが、プロ4年間、111試合で本塁打はわずか4本。通算打率.223と1軍で結果を出しきれていない。だが、ペーニャの穴を埋めるファーストチョイスであることに間違いはない。
昨季は開幕スタメンの座をつかんだが、持ち前の長打力を発揮できないまま、2軍に降格した。今年5月の球団イベント「肉祭」のメディア用のプロモーション写真撮影にはもちろん井上が登場したが、それまでにブレイクを果たしたい。
ただ、現状では井上も信頼を置けるだけの実績はない。そうなれば、やはりドラ1・ルーキーの安田尚憲も選択肢に入る。ただし、育成の段階なので三塁守備の強化も必須だ。となれば昼はロッテ浦和球場などの近場で三塁手として出場し、夜はZOZOマリンスタジアムで指名打者として出場。ダブルヘッダーは必須だろう。
ただ、高卒ルーキーに無理をさせるわけにはいかない。そこで登場するのは、42歳の大ベテラン・福浦和也だ。今季からは打撃コーチも兼任し、あとは残り38安打に迫る2000安打を目指すのみ。年齢的に大爆発を期待するわけにもいかないが、まだまだ2軍では上位の力がある。ファンの期待もかかっている。
近い将来、「来る安田、去る福浦」になるだろう。24歳差の2人の併用も大いにアリだ。
外野陣から指名打者に回す手もあるだろう。昨季終盤は加藤翔平、荻野貴司、角中勝也でほぼ固まったが、打撃不振だった清田育宏、岡田幸文ら、手駒は多い。ドラフト4位の菅野剛士もキャンプから気を吐いており、開幕スタメン候補に名乗りを上げている。
もちろん、ここに絶好調の選手が多数出現し、指名打者に回ってくるパターンもある。根元俊一や細谷圭らの内野手ももちろん候補だ。
と、列挙したが、実は昨季も実情を見ると一塁、指名打者の起用法はこんな感じだった。有り余る戦術プランは「どんぐりの背比べ」が生んだもの。決していいことではない。突き抜けたブレイク選手の登場、中軸を打てる指名打者の出現に期待したい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)