6月25日現在のハーマンの成績は、26試合に登板して1勝0敗、投球回24.2。打者97人と対峙して被安打16、被本塁打2、奪三振27、与四球7、失点6、自責点6、防御率2.19。17ホールドはリーグ4位の成績だ。
勝っている展開で登板した20試合中、リードを保ったまま後続に継投リレーのバトンを託したのは実に19試合。リードを保てなかった1試合も同点にとどめ逆転は許さなかった。
リードした試合でハーマンが8回に登場した瞬間、チームの勝利は確定したといえる好状況を作り出す「勝利の演出家」でもある。
とにかく、拍手喝采したいのは優れたコントロールだ。
アメリカ3Aでの通算与四球率2.47の制球力通り、今季も与四球率2.55とすこぶる安定。与えた7個の四球も、ストレートのフォアボールはいまだゼロ。その事実が、ストライク先行の投球を実践でき、ストライクゾーンを見失って自滅することがない安定感を証明している。
特に、わずか2球でツーナッシングに追い込んだ打者28人との対戦が素晴らしく、そのケースでは26打数2安打、1本塁打、17三振、2四球、被打率.077という好成績を残している。
ハーマンの持ち球ではストレートとナックルカーブが効果的だ。チェンジアップも操るが、全体の9割近くをストレートとナックルカーブが占めている。
今季最速154キロをマークしたストレートは、コンスタントに145キロ以上を叩き出すスピードボールとして機能。打者の想像以上にスピンが効いているのだろう。バットがボールの下っ面に入ることが多く、イージーフライを大量生産している。
一方、ゴロアウトを量産する球種が、主に127〜133キロを計測するナックルカーブ。筆者の集計した記録を見ると、ナックルカーブで飛球を打ち返されたケースは、6月3日の中日戦でゲレーロに浴びた本塁打の1本だけ。カウント球でも勝負球としても使用できる汎用性の高さも特徴だ。
このままのペースで登板を積み重ねると、2012年にハウザーが記録した58登板を超える外国人投手シーズン最多登板の球団記録も見えてくる。
この記録更新の可能性が高くなればなるほど、イーグルスの優勝も近づいてくる。今後も引き続き好投に期待しよう。
文=柴川友次
NHK大河ドラマ『真田丸』で盛り上がった信州上田に在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドにみえる、楽天押しの野球ブロガー。開幕前から楽天有利、ホークス不利の前半戦日程を指摘、イーグルス躍進の可能性を見抜いた。