ベテランのなかで、絶対に外せない選手の1番手に挙がるのは、今期、主軸として圧倒的な存在感を見せ続けた福留孝介だろう。
来期を見据えた金本知憲監督の構想でも、センター・糸井とともにライトは福留と固まっている。
シーズン中も、大事な場面で技ありのタイムリーを放ったかと思えば、ライトの守備ではフェンス直撃の打球をフェイクしランナーの進塁を防ぐ、これぞプロフェッショナルというプレーを見せてくれた。
また、不甲斐ないプレーを見せた藤浪晋太郎をベンチ前で叱責するなど、リーダーシップも発揮。来期からキャプテンに就任し名実ともにチームを引っ張る存在だ。
2番手に挙げたいのは、やはり鳥谷敬だ。
今季は思わぬ不振からチームの低迷を招いたと矢面に立たされ、苦杯をなめた。
チームのキャプテンとして金本監督の期待に応えられず、来季はキャプテンマークを福留に譲る形になったとはいえ、鳥谷の復調なくしてチームの優勝はない。
若手選手が台頭してきたとはいえ、未だチームは発展途上。来季のポジションは流動的だが、走攻守において高いレベルで3拍子揃った鳥谷が、まだまだ主軸でいてこそ強い阪神が復活する。
人一倍練習し、若手の見本にもなってきた鳥谷。来季は36歳を迎えるが、まだまだ老け込む年ではない。
そして、敢えて3番手に挙げたいのが狩野恵輔である。
糸井の加入で、来期の外野の布陣は、糸井、福留、高山でほぼ固まった。来季、狩野が外野の守備に就くことは皆無に等しいだろう。
しかし、狩野のチームをまとめる統率力と、捕手時代に培った女房役としてのほかの選手への気遣いに期待したい。
今季もベンチでは、降板した投手や、凡退した打者に、常に声をかけていたのが狩野だった。その働きが買われてか、異例の年齢(12月17日で34歳)で選手会長に就任するなど、金本監督の期待の高さがうかがえる。
もちろん、ここぞというときの代打でも魅せてくれるに違いない。
将来有望な若手選手の流失を防ぐ。保護リストの作成は、まずはこのことを主眼に作成される。
過去にベテラン選手で思わぬ流出劇を生んだのは、巨人にFA移籍した工藤公康が、門倉健の人的補償として横浜移ったケースなどが挙げられる。
やはり、有望な若手選手は1人でも確保しておきたいものだ。反面、主要なベテラン選手の流失は、チーム構成の上で、大きな影響を及ぼす可能性も秘めている。
新キャプテンに敢えて最年長の福留を指名し、選手会長に苦労人の狩野を就かせた来季の構想からは、若手とベテランがうまく噛み合ってこそ強いチームができる、という思惑を強く感じる。
福留、鳥谷、狩野のベテラン3選手が、来期の優勝へ向けて若手選手を引っ張ってこそ、真の「超変革」が成し遂げられるはずだ。
文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。