■2005年:ロッテ(24勝11敗1分け)
交流戦初代チャンピオンの座はバレンタイン監督率いるロッテの手に。優勝を決めた6月14日のヤクルト戦(神宮球場)では、先発・小林宏之が投げては2失点完投、打ってはタイムリー二塁打と投打に活躍。期間中5勝負けなしで優勝の原動力となり、MVPに輝いた。
■2006年:ロッテ(23勝13敗)
ロッテが2連覇を達成。「交流戦に強いロッテ」のイメージが定着した。2006年の名場面といえば、6月18日のヤクルト戦(神宮球場)で里崎智也が放った逆転グランドスラム。ちなみに里崎は翌2007年のヤクルト戦(神宮球場)でも逆転満塁弾をマーク。両日とも雨降る神宮球場だったのは偶然か、それとも……。
■2007年:日本ハム(18勝5敗1分)
2007年は日本ハムが交流戦開幕からいきなり12連勝。リーグ戦から続いていた連勝記録を14に伸ばし、期間中に借金2から貯金11まで一気に上昇。優勝を決めた。5勝0敗、防御率1.01でMVPに輝いたグリン、6月19日の広島戦(広島市民球場)で両打席本塁打を放ったセギノールらの活躍が印象深い。
■2008年:ソフトバンク(15勝9敗)
ソフトバンクが交流戦初優勝を飾ったのが2008年。優勝チームが圧倒的な強さで頂点に立った過去3年間の交流戦とは違い、この年は最終戦まで4チームに優勝の可能性が残る大混戦に。その最終戦でライバルの巨人を3対2で下し、初のチャンピオンに輝いた。
■2009年:ソフトバンク(18勝5敗1分)
交流戦史上2チーム目の連覇を果たした若鷹軍団・ソフトバンク。3試合を残しての独走Vを果たしたのは、6月16日、石川県立野球場(金沢市)で行われた中日戦でのこと。延長10回、代打・森本学のタイムリーが決勝点となった。各チームの本拠地ではなく、地方球場で歴史が刻まれたことも興味深い。
■2010年:オリックス(16勝8敗)
オリックスが交流戦初優勝。この年から就任した岡田彰布監督にとっては、いきなり結果を残す幸先のいいスタートとなった。印象深いのは6月2日の中日戦(スカイマーク)。7点ビハインドから北川博敏の満塁弾などで追いつくと、延長11回にT-岡田がサヨナラ3ランを放ち、大逆転勝利を収めた。
■2011年:ソフトバンク(18勝4敗2分)
リーグ戦、交流戦、日本シリーズを制する完全優勝を果たし、「近年の最強チーム」の呼び声高い2011年のソフトバンク。交流戦ではセ・リーグ全球団に勝ち越しを決め、マークした勝率.818は今も交流戦最高勝率。前半12試合で10勝2分と一度も敗れることなかったのだから、優勝も当然か……と思ってしまう。
■2012年:巨人(17勝7敗)
交流戦開始から8年目。セ・リーグ勢初の優勝に輝いたのは巨人だった。このシーズンはNPB史上初の5冠達成(交流戦、リーグ戦、クライマックスシリーズ、日本シリーズ、アジアシリーズ)を果たした。交流戦では、5月30日の楽天戦でノーヒットノーランを達成した杉内俊哉の力投が印象深い。
■2013年:ソフトバンク(15勝8敗1分)
ソフトバンクが交流戦4度目の頂点に立った。6月13日のヤクルト戦で優勝を決めたが、4度目にして初の本拠地・ヤフオクドームでの優勝決定。過去3回は東京ドーム、石川県立野球場、ナゴヤドームで決まったため、ようやく地元ファンと喜びをわかちあった。
■2014年:巨人(16勝8敗)
6月22日、巨人対ソフトバンクの一戦は史上初の「勝った方が交流戦優勝」という決戦に。それまで3戦3勝のソフトバンク有利と見られたが、巨人が10対5で勝利。一矢報い、2度目の優勝を勝ち取った。
■2015年:ソフトバンク(12勝6敗)
2015年から18試合制による「リーグ対抗」形式となったため、「最高勝率チーム」を優勝チームとして述べていく。新ルールになってもソフトバンクの強さは健在で、2015年もしっかりと頂点に立った。ただ、優勝争いはし烈で、先に全日程を終えていたソフトバンクは日本ハムの結果を待つことに。最終戦で日本ハムが敗れたことで、勝率1位の座が転がり込んできた。
■2016年:ソフトバンク(13勝4敗1分)
記憶に新しい昨季もソフトバンクが最高勝率に輝いた。期間中に大ブレイクを果たした城所龍磨らを中心に、安定した強さを披露。1位を決めた6月19日の阪神戦(甲子園)でも城所がグランドスラムを放ち、まさに「キドコロ覚醒中」を印象づけた。
過去12年間の交流戦優勝チーム、最高勝率チームを振り返ってみたが、あらためて感じるのはパ・リーグ勢、とりわけソフトバンクの強さだ。今季も徐々にエンジンがかかり、首位を走る楽天にピタリとつけている。得意の交流戦で一気に抜き去りたいところだ。
一方の楽天も梨田昌孝監督が「交流戦優勝を狙う」と鼻息が荒い。パ・リーグ勢では楽天と西武に交流戦優勝経験がなく、今季は悲願を達成するチャンスと踏んでいるだろう。
負けてばかりではいられないセ・リーグ勢では、広島が勝率1位の最有力か。先発陣にやや不安があるものの、攻撃陣の厚みはパ・リーグの強打自慢のチームにも引けを取らない。
セ・リーグ唯一の優勝経験のある巨人はエース・菅野智之の奮闘が不可欠。糸井嘉男や福留孝介を適宜DHで使える阪神の戦いぶりにも注目したい。
文=加賀一輝(かが・いっき)