■ミッシュ(オリックス)
(4月9日/ソフトバンク対オリックス/鹿児島・鴨池球場)
今季、オリックスにやってきたミッシュ。どういう投手か記憶している人は少ないかもしれないが、非常にレアな記録を残していたことをご存知だろうか。
4月9日、鹿児島・鴨池球場で行われたソフトバンク戦。5回、1死満塁のピンチをつくった先発・金子千尋を継ぎ、ミッシュが2番手として来日初マウンドへ。打者・中村晃に初球を投げようとセットポジションに入るが、右足が小刻みに動きボークの判定。まさかの「来日0球」で点を許してしまった(失点はなし)。
オコエ瑠偉(楽天)
(6月14日/巨人対楽天/東京ドーム)
さすがのスーパースター候補も苦笑いだ。6月14日の楽天対巨人。楽天が1点リードで迎えた7回、無死一塁から1番・オコエ瑠偉の打球はライト方向へ。ファウルゾーンで右翼・長野久義が捕球態勢に入ったが、次の瞬間エキサイトシートから中年男性がグラウンドに飛び込み打球を“横取り”。
オコエとしては「ファウルになってラッキー」と思った瞬間だったが、審判の判定はアウト。野球規則3.16の【付記】には「観衆が飛球を捕らえようとする野手を明らかに妨害した場合には審判員は打者に対してアウトを宣告する」とあり、思惑通りにいかなかった。
菊池涼介(広島)
(6月14日/広島対西武/マツダスタジアム)
今年導入されたコリジョンルールが適用された場面には悲喜こもごもあったが、そのなかでも代表的なのがこの「コリジョンサヨナラ」だ。
6月14日の広島対西武。2対2の同点で迎えた9回裏、広島は2死一、二塁のチャンスで赤松真人がセンター前へ弾き返し、二累走者の菊池涼介は本塁突入。中堅手・秋山翔吾の送球がやや三塁寄りにそれたため、捕手・上本達之が重なる形になって菊池はタッチアウトとなった。
広島のサヨナラ勝ちはならずと思われたが、即座に緒方孝市監督が抗議して、ビデオ検証の結果判定が覆り、得点が認められサヨナラ決着。
この日は、鈴木誠也が3試合連続決勝打を放ち、“神ってる”というフレーズが生まれる数日前だったが、すでにその予兆はあったのかもしれない。
そして奇しくも、前述のオコエのファウルを巡るハプニングと同じ日にこの「コリジョンサヨナラ」が起こった。文字通り「珍しいプレー」が珍プレーだとしたら、今年の6月14日は「珍プレー記念日」を制定してもいいかもしれない。
しかし「珍プレー記念日」とするには、珍プレーの代名詞、宇野勝(元中日)の「ヘディング事件」が起こった日(1981年8月26日)のインパクトには負けるかも……。
文=加賀一輝(かが・いっき)