今回のこの企画は『野球太郎』編集部内で出た、何気ない疑問から生まれた。毎年行われるドラフト会議の前後には、何故か「○○2世」と呼ばれる指名候補選手が、必ず出現するのだ。
今ドラフトでは、先に紹介したように成田翔(秋田商高)はその出身地と体格、同じ左腕であることから、ヤクルト・石川雅規2世と呼ばれた。他にも指名漏れとなった谷田成吾(慶大)は高橋由伸2世と呼ばれ、2年後のドラフトでも必ず「ヨシノブ2世」と紹介されるのは鉄板だろう。
古いところでは、1991年のドラフトで誕生した落合博満2世。ロッテ3位指名の丹波(たんば)健二は、社会人野球の東芝から入団。落合は東芝府中だが、同じ東芝から同じ3位でロッテ入団した右打者の長距離砲・丹波は、「落合2世」を襲名し、マスコミの煽りを受けたファンから大きな期待を受けた。しかし結果は、落合に遥か及ばず。丹波はプロ5年間で、1本塁打しか打てなかった。
気の早い話になるが、来年のドラフト前後にも「○○2世」と呼ばれる選手が出現するはず。先日閉幕した明治神宮大会では、高校の部に出場した2人の有望投手に、早くも「○○2世」の呼び名がついている。
秋季中国大会を制した創志学園(岡山)のエース右腕・高田萌生(ほうせい)は、投球フォームがあの松坂大輔(ソフトバンク)にそっくり。最速150キロをマークする怪腕で、岡山県大会予選から中国大会決勝まで全イニングを投げくなど、タフネスぶりも「松坂2世」だ。
もう1人は、明治神宮大会で投打に渡り活躍した東邦高(愛知)のエース・藤嶋健人。初戦の秀岳館(熊本)戦では、130球完投勝利を挙げたほか、大会史上14人目となる1試合2本塁打を記録。エースで4番、さらには主将と、1人3役を務めている。
来年のドラフト候補といえば、超目玉・田中正義(創価大)を忘れてはならない。11月5日、上武大との試合に2-3で敗れた創価大は、明治神宮大会の出場を逃した。田中はこの試合で、3点ビハインドの5回途中からリリーフ登板。9回完投した前日に次いで、連投ながら打者16人から11三振を奪う、圧巻の投球をみせた。