本場アメリカでは、アルゴリズムを用いた予測システムがいくつか開発されており、それらによる成績予測はこの時期の風物詩の一つとなっている。今回はその中から、PECOTAと呼ばれるシステムによる日本人メジャーリーガーの成績予測を紹介したい。
2003年に登場したPECOTAは、毎年物議をかもしながら主要メジャーリーガーの成績を予測し続けている。開発者のネイト・シルバーはスポーツだけではなく政治の世界でも著名な存在だ。それでは実際に、PECOTAによる成績予測を見てみよう。
ダルビッシュ有
74.0イニング
防御率3.50
91奪三振
27与四球
8被本塁打
まずはトミー・ジョン手術からの復活を期すダルビッシュ。PECOTAでは、出場できるのはシーズンの3分の1ほどだが、その限られたプレイングタイムの中でエースにふさわしい数字を残すと予測している。
実際に、総合的な活躍度を表すWARPという指標では、わずか74イニングという出場機会にも関わらず、レンジャーズの投手陣の中でコール・ハメルズ、デレク・ホランドに次いで3番目に高い予測値が出ている。同時に、これはレンジャーズのローテーションの3−5番手に不確定要素が多いことも意味しているのだが。
もし、レンジャーズが昨年に続いて僅差のプレーオフ争いを演じた場合、ペナントの行方はダルビッシュがこの74イニングという数字にいかに上積みできるかにかかってくるかもしれない。
田中将大
182.2イニング
防御率3.75
170奪三振
39与四球
25被本塁打
新米パパとなったヤンキースのエース。PECOTAは、田中がメジャー3年目にして初めて規定投球回を超えるとみているようだ。
昨年に引き続き被本塁打がやや多くなると予測されているが、本拠地ヤンキー・スタジアムの狭さを考慮すれば致し方ないだろう。WARP2.5はチームの投手陣ではマイケル・ピネダの2.9に次いで2番目に高い数値で、今季もヤンキースのローテーションを支える屋台骨となりそうだ。
ちなみに、PECOTAは各選手の数字や年齢から最も近い比較対象となる選手を割り出すこともできるのだが、田中に最も近い投手は元エクスポズなどで活躍したハビア・バスケスとなっている。
前田健太
148.1イニング
防御率3.29
139奪三振
36与四球
15被本塁打
そして念願のメジャー移籍の夢を叶え、ドジャーズの一員となったマエケン。現時点では堅実な3−4番手という評価がもっぱらだが、PECOTAもそれに同意しているようだ。
WARP2.1はチームの投手陣でクレイトン・カーショウ、柳賢振の両左腕に次いで3位で、ここからも3番手という評価がうかがえる。比較対象となる投手は今季からチームメイトとなるブランドン・マッカーシーの名前が挙がっている。
文=山崎和音(やまざき・かずと)
日本プロ野球はもちろん、メジャーリーグや各国の野球の試合を毎日観戦。さらにシーズン中は、高校野球の地方大会などにも足を運ぶ。複数の米ウェブサイトにも寄稿しているほか、海外の野球ファンとの交流も積極的に行っている。