基本的にスポーツ新聞はすでに起きたニュースを伝えるものだが、この時期は「ファン感謝デーでこういうイベントが行われますよ」というお知らせを報じることもたまにある。
今年だと『京大工学部出身田中と学ぶ下町ロケット・球界一の宇宙オタク古谷も』(11月17日スポニチ)や、楽天の若手選手が女装した『かわいいのは俺だ! イーグルズ女子コンテスト!!』の写真を前日に1枚クイズとして掲載された(11月23日・スポーツ報知)。
もちろん紹介した以上はちゃんとイベントの様子も−−その日の他のニュースとの兼ね合いや実際の盛り上がりでスペースの大小はあるにしろ−−記事として報告される。それがスポーツ新聞の読者に対する責任だと思っていた。
だが今、僕の手元には9×14センチの切り抜き記事がある。
『ファンフェスタで笑いを取るあいさつを ドラ8松崎飾る笑撃デビュー』(11月14日スポーツ報知)
確かにこの日は高橋由伸の引退打席という超目玉イベントがあった。それの割を食った可能性も考えられたが、紙面のスミまで目を通すと昨年のドラ1の岡本和真がお立ち台でのアイサツを「ジョニー・デップではつまらないので福山雅治に変えようと思います」という、ジャンルでいえばそこそこどうでもいい発言も3×9.5センチでわざわざ紹介されているのだ。つまり、その気になれば松崎のスペースも楽勝で捻出もできたわけ。
そして、それをしなかったということは可能性は2つしかない。雰囲気的に言い出せなかったか、選手生命に悪影響を与えるほどスベり倒したか。もし、現場に行かれた方がいらっしゃれば、真実を教えてもらいたい。
文=御手洗あつひこ
幸楽(@渡る世間は鬼ばかり)のような中華料理屋でスポーツ新聞を読むことをこよなく愛するダメライター。その経験を生かして野球太郎で年に一度だけ『ドラフト当日の新聞報道徹底検証』の記事を担当する。好きな紙面レイアウトはスポニチ。