2013年に球団創設9年目にして初のリーグ優勝を飾り、東北を大いに盛り上げた楽天が、ここ2年は最下位に低迷中。
24勝0敗という超人的な結果を残した田中将大の抜けた穴はあまりにも大きかったわけだが、あの年のケーシー・マギーやアンドリュー・ジョーンズのような計算の立つ助っ人が現われなかったことも、その原因のひとつと言える。
今オフも、すでに5人の外国人選手の退団が発表されていて、そのうち野手は、ウィリー・モー・ペーニャ、ギャビー・サンチェス、アガスティン・ムリーロ、アレハンドロ・セゴビアの4人。
来季はまた新たな助っ人を招へいすることになるが、ビッグネームが平気でコケるなど、こればっかりはどの球団もそう簡単ではないのが実情。
それだけに、野手として唯一残留したゼラス・ウィーラーにかかる期待は大きい。今シーズンの成績は、91試合に出場し、打率.255、14本塁打、50打点。
この年間成績だけみるとやや物足りないレベルだが、月別の打率はこうなっている。
3・4月打率.172
5月 打率.125
6月 打率.179
7月 打率.241
8月 打率.241
9月 打率.310
10月 打率.435
ドン底の5月から、月を経るごとに数字を上げていったのがよくわかる。
9月は22試合で7本塁打、18打点、10月も6試合で1本塁打、9打点という活躍。8月下旬からは4番に座り、パンチ力と勝負強さで打線の核となった。
さらに公称178センチ100キロという巨体を揺らして全力プレーに励む姿と明るい性格にファンの支持も高まっていた。
来季、ロッテからFA宣言した今江敏晃との入団交渉がまとまれば、三塁手は今江になるだろう。おそらく、外野か指名打者での出場がメインになるのではないか。
ウィーラーが今季終盤のような打撃を来季開幕時から発揮し、他の新戦力も噛み合うようなら、最下位脱出どころか楽天がペナントレースをかき回す可能性は十分。そのためにも、オフの間に来季への準備をお願いしたいものだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)