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歴代最多のシーズン908得点! 打って走ったNPB史上最強打線・松竹のオーダーがヤバすぎる

歴代最多のシーズン908得点! 打って走ったNPB史上最強打線・松竹のオーダーがヤバすぎる

大量得点はプロ野球の華。今季は楽天、広島、阪神などが強力打線を形成し、激戦を繰り広げている。

 どこが今季の最強打線になるのか今後の展開が楽しみだが、プロ野球ファンが酒を酌み交わすとしばしば「史上最強打線」の話になる。

 掛布雅之、バース、岡田彰布のクリーンアップに核弾頭・真弓明信を擁した1985年の阪神。歴代トップのシーズンチーム打率.297を叩き出した2003年のダイエー。シーズン259本塁打をかっ飛ばした2004年の巨人など、次々と史上最強打線の候補が挙がる。

 しかし、そのなかで忘れられがちなのは、歴代シーズン最多の908得点を叩き出した1950年の松竹の「水爆打線」だ。忘れられているというより、「古すぎて知らない」と言ったほうが正確だろう。

 だが、史上最強打線論議の中で突如「水爆打線」の話を持ち出せば、あら不思議、野球博士気分になれること間違いなし。「水爆打線を知った上で2004年の巨人が最強」などと持論を唱えれば、きっと論議におけるマウントポジションを取れるはずだ。

 そんな邪念と好奇心のもと、1950年の「水爆打線」を調べてみた。

1950年 松竹の主なスタメン


1(二塁):金山次郎
137試合:打率.311/7本塁打/67打点/74盗塁

2(三塁):三村勲
126試合:打率.265/16本塁打/72打点/13盗塁

3(中堅):小鶴誠
130試合:打率.355/51本塁打/161打点/28盗塁

4(右翼):岩本義行
130試合:打率.319/39本塁打/127打点/34盗塁

5(一塁):大岡虎雄
135試合:打率.281/34本塁打/109打点/6盗塁

6(左翼):吉田和生(猪佐喜)
91試合:打率.261/13本塁打/49打点/2盗塁

7(捕手):荒川昇治
132試合:打率.268/3本塁打/51打点/25盗塁

8(遊撃):宮崎仁郎
135試合:打率.273/3本塁打/58打点/17盗塁

9(投手):真田重男(重蔵)
73試合:打率.314/2本塁打/36打点/2盗塁

控え(左翼):木村勉
102試合:打率.292/3本塁打/37打点/14盗塁

打ってよし、走ってよしが得点力の源


 小鶴誠の161打点(歴代シーズン打点1位)を筆頭にクリーンアップが100打点以上を記録。破壊力もさることながら、機動力もズバ抜けていた。1番・金山次郎が74盗塁と走りまくれば、小鶴、岩本義行らも激走し、チーム盗塁数は223個。1956年の阪急に次ぐ歴代2位のシーズン記録で、4番の岩本はNPB史上初のトリプルスリーを達成している。

 ちなみに後半戦で主に2番を務めた三村はなんと犠打ゼロ。バントなしで強攻するスタイルだった。主戦投手の真田も打率3割と打ちまくった。

 5番・大岡虎雄の経歴も面白い。38歳とベテランの域で助監督を兼任していたが、実はプロ2年目。それまでは社会人野球の強豪・八幡製鐵所で長年プレーし、「八幡の虎」の二つ名で鳴らした強打者だった。

 打ってよし、走ってよし。打と走が見事に誘発しあうスタイルから「水爆打線」と名付けられた。この年に生んだ98勝はいまもなお、セ・リーグのシーズン最多勝利記録だ。


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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