まずは広島の交流戦での通算戦績を見てみよう。
114勝170敗10分
なんと、これはDeNAに次いで12球団ワースト2位成績なのだ。これまでの年度別の順位は以下の通り。
2005年=11位
2006年=9位
2007年=12位
2008年=6位
2009年=3位
2010年=10位
2011年=12位
2012年=6位
2013年=8位
2014年=12位
2015年=8位
11回の交流戦でAクラスはわずかに3回。最下位の回数も同じく3回。これを見る限り、広島にとって交流戦は鬼門中の鬼門とも言いえる。
2011年には5試合連続完封負けを含む10連敗、2014年も首位から陥落する9連敗を喫するなど、交流戦によいイメージは皆無だ。
しかも、今シーズンの交流戦は、パ・リーグの上位3チームとの対戦からスタートするという、ファンとしては不安でしかないスタートとなる。
そんな広島はパ・リーグと、どのように闘って行くのか? 注目の2カードの見どころを探ってみたい。
まず、初戦の相手はロッテ。敵地QVCマリンフィールドに乗り込んでの一戦となるのだが、QVCといえば、2009年の惨劇がよぎるファンも多いことだろう。
1イニングに15失点…。日本記録を更新した歴史的敗戦の記憶がファンの脳裏には鮮明に焼きついているのだ。そのためQVCでの一戦に対し、恐怖を感じているファンは数知れない。
続いての2カード目は、最強球団・ソフトバンクだ。現在、予定通りパ・リーグの首位に立ち、暴君のごたる強さを発揮している鷹軍団。昨季も圧倒的な強さで交流戦優勝を飾っている。
過去の交流戦の戦績を合計しても、セ・リーグ全球団に勝ち越しているソフトバンク。広島に至っては14勝30敗3分けと、1番のお得意様となっている有様だ。
しかし昨季に限っては、最強ソフトバンクに唯一勝ち越したのが広島だけという事をご存知だろうか?
黒田博樹、ジョンソンが強力ソフトバンク打線を手玉に取った場面は、広島ファンの間では伝説と化している。今年もローテーション通りにいけば、第1戦に黒田が登板することは濃厚。今年も黒田が鷹退治を成し遂げることができるのか注目だ。
カギを握るのは、最初の2カードとなるのは明白。ここを乗り切るか否かでペナントの行方は大きく変わることだろう。
広島にとって交流戦は鬼門とも呼べる難関だ。しかし昨季は、順位こそ7位だが、勝率は5割であった。
その理由は、黒田博樹の広島復帰に尽きるだろう。メジャーで活躍した男にとってはパ・リーグへの苦手意識などなかったのか? 昨シーズンは3試合で3勝。防御率は0.84と圧巻のピッチングを披露している。
その黒田が昨シーズン同様、パ・リーグを翻弄できれば、鬼門に光が差し込むことは間違いない。「鬼門」を突破した先に見えるのは25年ぶりの栄冠…。ファンとしてはそう信じたい。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)