【2014新春放談】プロ野球12球団おせっかいアドバイス 〜パ・リーグ編その1〜
今週から4週に渡ってお送りする『【2014新春放談】プロ野球12球団おせっかいアドバイス』。『野球太郎』編集部員とライター陣が来たるべき2014年シーズンのペナントレースを展望します。座談会には豪華メンバーが揃いました!
高橋安幸(たかはし・やすゆき)…雑誌編集者を経て、野球をメインに仕事するフリーライター。2月17日発売の「別冊野球太郎〜プロ野球【呪い】のハンドブック(仮)」、3月10日発売の「野球太郎選手名鑑2014(仮)」を取りまとめるために大量の選手情報をインプットしている
キビタキビオ…野球のあらゆるプレーをストップウオッチで測り、記事にする「炎のストップウオッチャー」。『ザ・データマン〜スポーツの真実は数字にあり〜』(NHK-BS)に出演するなど、活躍の場を広げている。
ゆきやす…野球部経験ゼロの元ナゴヤ球場アルバイトキャプテン(大学時代6年間在籍)。
持木編集長(持木)…佐竹学(オリックスコーチ)と同級生。『野球太郎』編集長。
菊地選手(菊地)…当時堀越高のエース・岩隈久志(マリナーズ)に温存されて、3年夏を終える。『野球部あるある』の著者。
カバディ西山(西山)…川中島中時代の内竜也(ロッテ)と対戦するもボコボコにされる。編集部内では遊軍、またの名を使い走り。
聞き手は私、鈴木雷人(すずき・らいと)が務めます。メンバーには今季の戦力分析を把握した上で、事前に順位予想をしてもらっています。今週は2013年シーズン、パ・リーグBクラスに終わった3球団について徹底討論。それではプレイボール!!
北海道日本ハムファイターズ編
最下位脱出は、大谷翔平の起用法次第?
――昨年は6年ぶりに最下位に沈んだ日本ハム。巻き返しは?
西山 「今季も最下位予想しているのが3人、Aクラス入りを予想しているのは2人ですね」
キビタ 「ボクは2位に推しています。吉川(光夫)は昨季以上には悪くならないでしょうし、木佐貫(洋)、武田勝も安定した戦力。西川(遥輝)や中島(卓也)ら若手内野手も昨季、実戦経験を積んだことが活きてくると思います」
▲西川遥輝
菊地 「ボクも3位に推しています。昨季の最下位は、タネをまいた時期だったと考えたいですね」
キビタ 「もともと実力者の多いチーム。その歯車が噛み合って、うまく回転すれば、普通に上位進出はあり得ますよ」
持木 「回転という意味では、やはり大谷翔平の起用法はカギになりそうだな」
高橋 「大谷を先発ローテに入れ、同時に野手として起用することは、投手・野手陣の両方に影響が出ると思います」
菊地 「一部報道では、大谷は毎週火曜日に先発して水曜日に休み、他の曜日にはDHとして出場とありました。これだと火・水曜日に起用されるDHの選手は、(大谷が投げない)他の試合で起用されず、ということになると、メンバーも固定できない。チーム内で不協和音が出なければいいですが…」
持木 「いずれにせよ、昨季のように投手と野手のどっちつかずの起用法でいくのか、投手に専念するのか、そのあたりは徹底した方が良さそうだ」
キビタ 「もし投手に専念したら、昨季の藤浪(晋太郎/阪神)級の活躍をみせるかもしれませんよ。裏側ローテの頭などに固定することで他のローテ投手にも好影響が出るでしょう」
――他の先発投手といえば、斎藤佑樹もこのままで終われない選手では?
菊地 「ボクの3位推しの根拠は、斎藤佑樹がシーズン終盤などで急激に活躍するケースを予想してのこと。例えば1992年のヤクルトが奇跡の逆転優勝を飾ったとき、同じ早実出身の荒木大輔が救世主として復活したように…」
キビタ 「戦力が拮抗しているパ・リーグの場合、計算外の戦力が出てくることで、一気に上位進出が可能です。斎藤や残念な成績が続く中村勝などはブレイクして欲しいですね」
オリックス・バファローズ編
個々の力はリーグ上位も、チームリーダー不在が懸念?
――まずは投手陣の話。ドラフト1・2位で社会人出身の即戦力投手を獲得して、さらに投手陣は強力な選手が揃いました
持木 「1位の吉田一将は社会人時代から、プロで1年間200イニング近く投げるための練習をしていたらしい。ただ、ブルペンでは目立たないタイプなので、キャンプの時から首脳陣にアピールしていかないと、シーズン途中からの1軍入りは厳しいのではないだろうか」
菊地 「2位の東明(大貴)は社会人時代に、ロッテ1位の石川(歩)より良いボールを投げるような印象があります。ただ、腕が凄く(背後に)入る投球フォーム。プロで1年故障なく活躍できるか、懸念する向きもあります」
キビタ 「もともと先発ローテは大黒柱の金子千尋がいるし、2人がシーズン通じて活躍すれば先発陣はより強力になりますね。CS争い含めて、上位進出はあり得るでしょう」
――李大浩や後藤光尊らが抜け、ヘルマンやペーニャ、山崎勝己が加入するなど、野手陣は大きく陣容が変わりそうですが…
キビタ 「このチームは良くも悪くも個性的な野手が多い。“俺が(チームを)引っ張る!”というタイプの選手がいないのが痛いですね」
菊地 「谷(佳知)も古巣に戻ってきましたが…」
持木 「チームリーダーってタイプだったら巨人にFAで移籍してないだろう(笑)」
キビタ 「そういう意味では、大事な試合にチーム一丸となって臨む、という結束力がないかもしれませんね。そこで勝負弱さみたいなところが出てしまうのでは…」
高橋 「投手陣でも、例えば金子はチームを引っ張るタイプではないかもしれないですね。リーダーとして十分な実績を挙げているのに、非常にもったいない。そういう意味では戦力補強したものの、根本的な要素は変わっていないのでは、という懸念があります」
キビタ 「新戦力のヘルマンや昨季レギュラーに定着した安達(了一)らの、ガムシャラなプレーが、チームをひとつにまとめるきっかけになったら良いですよね。後藤が抜けて、平野(恵一)が二塁手に定着するようになったら、持ち前のガッツ溢れるプレーでチームを牽引する可能性もアリですね」
▲安達了一
菊地 「個々の能力が高いチームなだけに、小久保(裕紀/元ソフトバンクほか)のようなチームリーダーが必要でしょう。そういった選手が出てくれば、面白いシーズンになる戦力はあります」
福岡ソフトバンクホークス編
ぶっちぎりの戦力補強! 生え抜き選手の不信感が…
――秋山政権では初のBクラスに転落したソフトバンク。このオフには相当な戦力補強をしまして、事前の順位予想でもほとんどの人が1位にしていますが…
菊地 「昨年だってシーズン前はソフトバンク有利といわれていましたが、結果は4位。今季もわかりませんよ」
高橋 「期待外れの理由は投手陣の崩壊。先発は攝津正ひとりで引っ張る状況になってしまった」
西山 「開幕前は“2つローテーションを組めるのでは?”といわれましたが、見事に山田大樹や武田翔太、新人王候補たっだ東浜巨、それにFA移籍の寺原隼人らが期待に応えられませんでした」
キビタ 「今季、東浜は活躍するでしょう。昨季の終盤は亜細亜大時代の良いときのように、野手陣に守備位置を指示するといった仕草もみせていました。マウンド上でも自分のペースをつかめるようになったと思います」
――今回の戦力補強は、生え抜き選手たちからも不信感が伝わるようなコメントも聞きます。
菊地 「外国人選手にしても、何人獲るんだ? って感じですからね…」
持木 「その戦力補強のあおりを受けて、若手の出場機会が減るケースが出てくると残念。投手陣では二保(旭)や岩嵜(翔)ら、期待されている投手がここ数年伸び悩んでるのは戦力補強も影響しているかもしれない」
菊地 「日本人離れした打撃をみせる柳田(悠岐)ら、その影響を受けないでほしい野手もいますね」
西山 「昨季は12球団トップの打率.274、660得点を挙げ、得失点差も12球団1の割に4位でした。1点差負けの試合が非常に多く、勝負弱さにつながったのは、オリックスと同じように個々の選手が別々の方向を向いてプレーしており、牽引するリーダーが不在、チームとしてまとまりにかけていたのではないかと感じます」
――弱点でもある中継ぎ陣の補強が進んでいないのでは? という声もありますが…
キビタ 「中継ぎ陣でいうとドラフト3位入団の岡本健は登板機会が増えるのではないでしょうか」
西山 「いい意味で新戦力が毎年のように出てくるので心配はしていません。ただ“今シーズン、この投手の調子がいいから使い続けよう”と無茶な起用が目立ち、1シーズンはもつのですが、何年か続けての活躍はあまり見られません。復活した柳瀬(明宏)の今シーズンが心配ですが…」
高橋 「いずれにせよ、これだけ駒が揃っている訳だから、カギを握るのは采配力。秋山監督の手腕に期待しましょう」
▲ドラフト3位・岡本健(社会人・新日鐵住金かずさマジック)
今回はここまで
21日更新号では楽天、西武、ロッテ編をお送りします。お楽しみに!
■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)…会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。"ファン目線を大切に"をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは
@suzukiwrite
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