2015年、期待とは裏腹に3位でシーズンを終えた阪神。2010年から6シーズンに渡って中軸を担ったマット・マートンの退団が決定し、金本知憲新監督は新たな中軸の形成を求められる。
そこで白羽の矢が立ったのが、マット・ヘイグ。ブルージェイズに在籍するヘイグは今季、MLBでも10試合に出場した。
今季3Aでは、≪136試合 打率.338 11本塁打 92打点≫を記録した好打者だ。それ以前の成績も優秀で2011年の3A昇格以降、打率.280〜.290をコンスタントに記録している。
ヘイグは果たして日本で活躍できるのか。近年、阪神が「大物」として獲得した自前助っ人野手の【前年度成績】と【日本での成績】を振り返ってみたい。
【2009年MLB】 29試合 打率.250 1本 6打点
【2009年3A】 97試合 打率.324 12本 79打点
【2010年阪神】144試合 打率.349 17本 91打点
在籍6年で3回の最多安打を獲得したマートン。来日前の1年はロッキーズに在籍したが、メジャーでのチャンスをつかみきれず。しかし、3Aでは抜群の成績を残しており、勢いそのままに日本でもいきなり当時のシーズン最多安打記録を樹立した。
ヘイグも成績的にはマートンと同タイプ。いい波に乗っている選手だ。
ちなみにマートンは来日当初は実力が怪しまれており、キャンプで酷評する解説者も少なくなかった。
【2013年MLB】 出場なし
【2013年3A】 135試合 打率.238 30本 78打点
【2014年阪神】143試合 打率.283 26本 109打点
来季も阪神の主軸を担うであろうゴメス。こちらも「波に乗っているが埋もれていた」タイプで、メジャー出場は2012年の37試合のみ。
しかし、3Aでは2011年からの3年間で28本塁打、32本塁打、30本塁打と本塁打を量産しており、もったいない逸材だった。
その大砲候補は来日1年目から勝負強い打撃で打点王を獲得。海を渡って自身の実力を証明した。
【2012年MLB】 49試合 打率.133 4本 15打点
【2012年3A】 46試合 打率.331 14本 40打点
【2013年阪神】24試合 打率.175 0本 0打点
マートンタイプの前年成績でも外れだったのはコンラッド。クレッグ・ブラゼルの代役として期待された。
しかし、結果は散々。MLBに帯同した試合も多く、結果論でいえば、3Aでの試合数のサンプルがやや少なかった印象も拭えない。
キャリア全体で見ても、2010年にブレーブスで103試合に出場し、打率.250を記録したシーズンがベスト。
3Aでも打率3割超えはなく、ゴメスのように毎年ホームランを連発していたのは2005〜2008年あたり。旬が過ぎていた。
【2008年MLB】 51試合 打率.243 0本 10打点
【2008年3A】 51試合 打率.283 4本 30打点
【2009年阪神】15試合 打率.148 0本 2打点
今思えば、旬が過ぎていたのはこの男。メジャー通算89発の触れ込みで来日したメンチだ。
結果は言うまでもなく散々だが、獲得の方針も少し疑問符。2004年にレンジャースで26本塁打、2005年に25本塁打を放ち、一世を風靡したメンチだが、その後は13本→8本→0本と数字を落としており、かつての勢いは失われていた。
【2007年MLB】 55試合 打率.233 3本 14打点
【2007年3A】 35試合 打率.262 2本 17打点
【2008年阪神】47試合 打率.225 3本 11打点
キャリアハイは2004年、ツインズで154試合に出場し、打率.299 15本 72打点を記録した年。2004〜2005年の当時は、二塁打もそこそこ打っていたが、その後、数字を落としていた。
来日時、阪神球団は「コンスタントに打てる中距離ヒッター」と前評を出したが、キャリアハイ時の長所がそのまま出せるとは限らない…。
この年の大物助っ人はフォードだったが、もうひとり、アーロム・バルディリスも獲得している。こちらは前年2Aで打率.240、育成入団と控えめだったが、日本球界で長くプレーすることになった。
こうして並べてみると、阪神で活躍できた助っ人は「旬」がひとつのポイントになりそうだ。新外国人のヘイグは圧倒的に「旬」タイプ。
コンラッドのようにフロック打率でもなく、毎年コンスタントに数字を残している中で、今シーズンさらに飛躍を遂げた選手だ。
成功の可能性は高そうだが、果たしてどうなるか——。まずは春季キャンプで様子を見たい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)