広島からは石井琢朗打撃コーチ、河田雄祐外野守備走塁コーチの退団が発表された。
石井コーチは2012年に現役引退後、そのままコーチに就任。当初は、1軍内野守備走塁コーチだったが、2016年からは打撃コーチへ配置転換された。1、2番に座り、攻守に渡ってチームを牽引する田中広輔&菊池涼介の「不動の二遊間コンビ」を確立させた功績は絶大だ。
河田コーチは2016年からの2年間在籍した。こちらは、高校時代は投手だった鈴木誠也を外野手として一人前に育て上げた。攻めた結果のエラーは不問とし、勝負する守備の重要性を浸透させた。
一方のソフトバンクは、佐藤義則投手コーチ、鳥越裕介外野守備走塁コーチ、清水将海バッテリーコーチの、3人の1軍コーチが退団することに。
佐藤コーチは3年間の在籍。その間、投手陣を整備し、2度の日本一へ後押しした。コーチとして阪神、日本ハム、楽天、ソフトバンクの4球団で優勝を経験しており、さすがの指導力だった。
鳥越コーチは2007年に2軍内野守備走塁コーチに就任して以降、11年に渡って指導者として在籍。今季のソフトバンクの年間失策数は史上最少タイとなる38個だったが、その礎を築いたのは鳥越コーチだったと言っても過言ではない。
特に同じ大分出身の今宮健太を入団時から鍛え上げ、ゴールデン・グラブ賞の常連となる遊撃手にまで成長させたことは、何よりの置き土産となった。
清水コーチは2012年にコーチに就任以降、3軍から1軍までのバッテリーコーチを7年間歴任。育成出身の甲斐拓也の台頭には欠かせないキーマンだったと言えよう。
広島の石井コーチと河田コーチはヤクルトへ、ソフトバンクの佐藤コーチは楽天へ、清水コーチと鳥越コーチはロッテへ、それぞれ移籍が決定。
今季の両首位チームは、重要な参謀たちがいなくなるだけでなく、様々なデータやノウハウがライバルチームに流出することで、二重の危機を迎える。ただ、こういったシャッフルにより球界全体がレベルアップすることは間違いなく、ペナントレースはより白熱するはず。
上記のコーチが出たチーム、受け入れたチームが、どういった結果を見せてくれるのか。秋季キャンプから、すでに目が離せない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)