第1試合:智辯学園vs.龍谷大平安
今大会を盛り上げた近畿勢。ベスト8進出チームのうち、4校を独占し、そのなかで勝ち残ったのが智辯学園(奈良)と龍谷大平安(京都)だ。
思い起こせば今大会の開幕戦に登場した智辯学園。コンディション調整の難しい初戦で粘投をみせたのが、エースの村上頌樹だ。福井工大福井(福井)に10安打を浴びながらも4対0で完封勝利をマーク。続く鹿児島実(鹿児島)戦も1失点完投。さらに準々決勝の滋賀学園(滋賀)戦も9回を投げ切り、2安打完封。これで3試合連続完投勝利となった。
173センチと比較的小柄な村上。ストレートのキレに定評があり、制球力もある。打者は打席に入ると、想像以上に速さを感じているだろう。39年ぶりの4強進出を果たした智辯学園は、奈良県勢19年ぶりの優勝を目指す。
対する龍谷大平安の左腕エース・市岡奏馬も粘り強い投球が魅力。初戦の明徳義塾(高知)、2回戦の八戸学院光星(青森)を相手に、走者を出しながら要所を抑える投球が光った。準々決勝の明石商(兵庫)戦は、175球の熱投で1失点完投。甲子園で一戦ごとに力をつけてきた印象がある。
明石商の試合で、龍谷大平安は春夏甲子園通算勝利数を99勝(春40勝、夏59勝)に伸ばした。近畿勢同士の準決勝に勝利すれば、最多記録を持つ中京大中京(愛知)の133勝に次ぐ、全国2校目の甲子園100勝チームとなる。記録を引っ提げて決勝進出なるか。どちらが勝っても、関西勢が決勝に駒を進める。
第2試合:秀岳館vs.高松商
その近畿勢を迎え撃つのが、センバツは13年ぶり2回目の出場の秀岳館(熊本)と、20年ぶり26回目の高松商(香川)の勝者だ。
今大会、最も派手な勝ち上がりをみせている秀岳館。社会人野球の松下電器(現パナソニック)などで指揮を執り、高校野球中継の名物解説者としても人気を博した鍛治舎巧氏が、2014年から監督を務めている。その継投策は見事で、有村大誠や堀江航平らを上手く起用。他チームの投手のコンディションが気になるなか、万全の体勢で準決勝に臨む。
野手の中心選手は、正捕手の九鬼隆平だ。二塁への送球は1.8秒台の強肩で、キャッチングの質が高く、ボールを後ろに逸らさない。投手は思い切って腕を振ることができるだろう。初戦の花咲徳栄(埼玉)戦では適時打を放つなど、打撃も含めて今大会No.1捕手との呼び声も高い。九鬼をはじめ、メンバーのほとんどが2013年ジャイアンツカップ(中学硬式野球のクラブチーム日本一を決める大会)を制した枚方ボーイズ出身の選手で構成される秀岳館。中学・高校と連続の日本一なるか。
一方の高松商もタレント揃いの好チーム。エース右腕・浦大輝は最速141キロ以上の威力あるストレートが持ち味。野手では美濃晃成、米麦圭造らの内野陣をはじめ、外野手の安西翼ら個性派揃い。美濃は救援投手としてマウンドに上がるなど、野球センスの高さを証明。安西は中学時代、陸上短距離においてジュニア五輪出場を果たした俊足選手だ。
センバツ第1回大会を含め、春夏ともに2回ずつの優勝を誇る古豪・高松商が決勝に進むのか、それとも準々決勝で木更津総合をサヨナラ勝ちで下して勢いに乗る秀岳館か。第1試合同様、好ゲームを期待したい。
文=野球太郎編集部