昨シーズンの例を見ると、ヤクルトではキャンプ序盤に三塁の川端慎吾が離脱。開幕戦こそ西浦直亨が出場したが結果を出せず、谷内亮太、荒木貴裕らを試しながら、最終的には藤井亮太に落ち着いた。
ほぼ、藤井で三塁が固定されるようになったのは5月上旬。ヤクルトは開幕から1カ月以上にも渡って、ホットコーナーを固定できなかったのだ。ただ、スタメンを勝ち取った藤井にとっては、飛躍のきっかけをつかんだシーズンとなった。今シーズンからは従来の捕手から内野手へ登録変更して定着を狙う。
今キャンプではソフトバンクの捕手陣に、ケガ人が続出している。甲斐拓也とともに主戦捕手として戦ってきた高谷裕亮が関節炎の手術を決断。開幕は絶望的で、復帰は早くても5月以降になる見通しだ。
また、甲斐、高谷に続く第三捕手の座を争っていた栗原陵矢も左肩の脱臼で戦線を離脱した。今後、手術を行うのか、それとも保存療法で治療するのか選択することになるが、どちらにせよ開幕はアウト。手術を選択した場合は、今シーズン絶望の可能性もある。
一方、高谷と栗原が離脱したことでチャンス巡ってきたのが、2年目の九鬼隆平と3年目の谷川原健太だ。2人とも1軍経験はない。しかし、千載一遇のチャンスととらえて、飛躍を期待したい
広島の外野陣では、昨年8月に故障で離脱した鈴木誠也が開幕に間に合うか微妙な状況。その代役候補がバティスタのはずだった。昨シーズン、2打席連続代打本塁打で衝撃的なデビューを飾ったバティスタは、今シーズンは4番候補の1人にも挙げられていた。しかし、ロッテとの練習試合で受けた死球により無念の離脱。診断は骨挫傷と発表されているが、全治は明らかにされていない。
そこで外野手、一発を期待できる代打としてバティスタの役割を担うことになりそうなのは、堂林翔太になるだろうか。堂林は“プリンス”と呼ばれ期待されてきたものの、ここまで大きな実績を残していない。昨シーズンも44試合の出場で打率.217、1本塁打、11打点と今ひとつ。今シーズンこそ、チャンスをつかみ開花したい。
日本ハムの先発陣も見てみよう。大谷翔平(エンゼルス)という絶対的なエースが退団。有原航平が後を託され、開幕投手候補筆頭と目されていた。しかし、有原は右肩痛を発症。復帰は4月下旬以降といわれている。
そこで、空席となった開幕投手の座を争うことになったのが、2016年の新人王・高梨裕稔、復活を期す上沢直之、そして2年目の堀瑞輝だ。3人とも開幕投手の称号を手にして自信をつけ、ブレイクのきっかけとしたい。特に、堀は侍ジャパンにも選出されており、将来のエース候補として名乗りを挙げたいところだ。
栗山英樹監督は“2年目の斎藤佑樹を開幕投手に指名”“大谷翔平の二刀流”など、常識にとらわれない方法をとってきた。チームに勢いをつけるためには誰を起用するのが最適か、また、本人の飛躍のためにどんな場面を与えるのが最適かと考え抜き、開幕投手を指名するはずだ。オープン戦で結果を残し大役をつかむのは誰になるのか注目が集まる。
このように故障者が出ても、若手や1軍当落線上の選手にとってはチャンスとなる。代役からきっかけをつかんでブレイク、復活を果たしてもらいたい。開幕までの残り約1カ月の間に、どれだけアピールできるか。オープン戦から目が離せない。
文=勝田聡(かつた・さとし)