同学年コンビが二遊間でスタメンを組んだのは3度目。ここまで二遊間での失策はともにゼロ。前述の日本ハム戦では茂木が三遊間を抜けようかというヒット性のライナーを横っ飛びで「もぎ取る」と、三好は一、二塁間突破コースのゴロに球際で追いつき、正確な一塁送球でアウトにする「匠の技」を披露した。
センターラインの再整備を最優先事項に掲げるチームで、若きキーストーン・コンビの躍動は明るい未来を予感させるのに十分すぎるシーンになった。
打撃では年間2ケタ本塁打を両選手に期待したい。楽天は球団創設以来、シーズンで10本以上のホームランを打った生え抜き打者が、いまだに出現していない。しかし、両選手ともに芯を食ったときのパンチ力は十分なのだ。
茂木は左右に打ち分ける好打をみせ、312打席で残した打率は.279と合格点の槍働き(成績は8月15日現在)。本塁打こそ1本にとどまっているが、外野深くのウォーニングゾーンを襲った飛球は8本(安打4凡打4)を記録する。
プロ初安打は、ソフトバンクのバンデンハーク撃ちの右中間フェンス直撃三塁打。惜しくもアウトになったが、大谷翔平の150キロのストレートをセンターの塀際まで飛ばしたこともある。
2014年にイースタン・リーグで3位タイの13本塁打を記録した三好。今季はここまで52打席で打率.156ながらも、7月23日ロッテ戦では待望のプロ初本塁打を記録した。1軍の水に慣れてくれば、秘めたパワーで力強い打撃を披露する場面も増えるはずだ。
ただし、セ・リーグと比べて球場が広いパ・リーグでは2005年以降、身長174センチ以下の打者による年間2ケタ本塁打は、わずかに2例しかないのも事実なのだ(2005年の楽天・礒部公一=16本、2015年の西武・森友哉=17本)。
171センチの茂木、174センチの三好が体格差を乗り越えてこの記録を成し遂げるかどうか? 注目していきたい。
文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。