藤平は立ち上がりこそナゴヤドームのマウンドの傾斜にアジャストできず、大島洋平に二塁打、京田陽太には三塁打と連続長打を浴びて1点を失う。しかし、後続を断ち最少失点で切り抜けると、あとは新外国人選手のモヤの単打とソロアーチのみに抑え、5回72球、2失点という好結果。高めのストレートは140キロ中盤という球速以上の伸びを見せ、キャンプから新たに習得した曲がりの小さなスライダーとのコンビネーションもよく、7奪三振と中日打線を圧倒した。
松坂と藤平は、同じ横浜高の出身で、高卒ドラ1という共通項もある。ナゴヤドームで挨拶を交わし、偉大な先輩から「お互い頑張ろう」との言葉が贈られたという。
ルーキーイヤーだった昨季、藤平はシーズン半ばから1軍に昇格。8月22日には同期の高卒投手では一番乗りとなる初勝利を挙げ、終わってみれば8試合で3勝4敗、防御率2.28と上々の成績を残した。
今季は、2月16日の阪神との練習試合、24日の広島とのオープン戦で、ともに3回パーフェクトの好投を披露しており、楽天投手陣のなかでもトップクラスの仕上がりを見せている。
ペナントレースでは、則本昂大、美馬学、岸孝之という実績のある三本柱に、開幕時はまだ19歳の藤平が四本柱として加わりそうだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)