今年、100周年を迎えた高校野球。記念すべき甲子園への出場を巡った地方大会も、残すところ、あとわずか。見事、甲子園切符を手にすることができるか、最後の最後で負けてしまうか……どんな結果になっても最後までがんばってほしいと思う。
そんな今年の高校野球・地方大会の中で注目を集めた存在といえば、早稲田実業のスーパー1年生・清宮幸太郎だろう。新スターの勇姿を一目見ようと、早稲田実業の試合はいつも大勢の観客で球場が賑わっていた。
清宮のようなスーパー1年生が数年置きに登場し、ファンの視線を集めてきた歴史がある。甲子園を沸かせた歴代の「スーパー1年生」、今回は打者に絞って、いま一度振り返ってみよう。
(※年齢の違いがあるため、本稿では学制改革以降の1年生を対象としている)
高校時代、まず投手として頭角を現したのが早稲田実業の王貞治(元巨人)だ。1年夏から甲子園のマウンドを踏んでいるが、打者としてももちろん評価は高かった。3番に醍醐猛夫(元毎日)、4番に徳武定之(元国鉄ほか)という、将来プロ野球界で活躍する先輩たちに続く5番打者としてクリーンナップを形成。甲子園でも三塁打を放ち、後の大打者としての片鱗を見せている。
名門・PL学園にあって、1年生から4番を務めた初めての人物が清原和博(元西武など)だ。大会序盤こそノーヒットが続いたが、3回戦で甲子園初ヒット。以降、立て続けに巧打を重ねる。準決勝の池田戦は4打席4三振でいいところがなかった清原だったが、これで発奮したのか、決勝戦では甲子園初本塁打で優勝に花を添えた。いまだ破られない、甲子園通算13本塁打の最初の一本だった。
清原同様、名門校の「1年生4番打者」として甲子園にやってきたのが星稜の松井秀喜(元巨人など)だ。清原ですら、地方大会を戦う中で少しずつ4番打者として認められるようになったものの、松井の場合は入学早々4番が指定席。残念ながら初めての甲子園では初戦敗退。松井自身も3打数無安打といいところがなく、「甲子園は怖いところです」という言葉を残して球場を去った。
甲子園デビュー戦のインパクトが誰よりも凄まじかったのが大阪桐蔭の中田翔(日本ハム)だ。5番・一塁手として臨んだ甲子園初戦では見事な一発を含め、5打数4安打という大活躍。さらに、エース・辻内崇伸(元巨人)をリリーフし、1年生史上最速(当時)の147キロを計測。投打において、強いインパクトを残す甲子園デビューを飾った。その後も期待に応え続け、大阪桐蔭のベスト4進出に大きく貢献した。