昨オフに潰瘍性大腸炎を患っていることが発覚した安達了一。昨春はキャンプには参加せず、治療に努めた。そして、治療後にトレーニングを重ね、4月12日に試合に復帰。その後も体調を見ながらの起用で118試合に出場した。今春は宮崎キャンプに最初から参加し、元気な姿を見せている。
安達の持ち味は、その広い守備範囲。外野に抜けるかという打球をキャッチし、何度も投手を助けた。シーズンを通して出場することができれば、ゴールデン・グラブ賞も見えてくるはずだ。
入団3年目にして、師匠ともいえる先輩・平野恵一(現阪神コーチ)の背番号5を継承した西野真弘。昨季は全143試合に出場。打率.264、33打点、63得点の成績を残し、ガッチリと正二塁手の座をキープした。
西野の魅力は、小柄な体格ながらパンチの効いた打撃。リードオフマンとしてさらに貢献度を高めるなら、昨季.335だった出塁率をもっと上げることが必要だ。
チーム最年長となる小谷野栄一。昨季は故障に泣かされ、思うような成績を残せなかった。ただ、2軍での調整中には若手と積極的に交流しており、頼られる存在となっている。打点王を獲得した2010年のように、再び輝くことができるか。
中島宏之はFA移籍から3年目。昨シーズンは、7月30日に1軍再登録されて以降、打率.329、6本塁打、36打点と好成績を残した。西武時代の輝きを少し取り戻した。この成績を開幕から残せるようであれば、オリックス打線は他チームにとって驚異となるだろう。
昨季は期待されたほどの成績を残せなかったモレルは、昨年入団した外国人選手の中で唯一、再契約を果たした。今季こそは助っ人としての活躍に期待したい。
昨季はルーキーながら64試合に出場した大城滉二。三塁を守ることが多かったが、シーズン途中には外野練習にも取り組み、12試合で中堅と左翼に就いた。今季は、立教大時代に通算112安打を記録した打撃力を生かすことができるか。
同じく昨季、ルーキーだった鈴木昂平は45試合に出場。守備力を買われており、ほとんどの試合で守備固めとして起用された。より重宝されるためには、バントや進塁打などの小技でアピールする必要があるだろう。
内野のレギュラー争いに加わっているのは、内野手登録の選手だけではない。捕手の伊藤光や伏見寅威も内野の練習を行っている。
伊藤は2月18日の広島との練習試合で、6番・三塁でスタメン出場。第1打席で九里亜蓮から左中間へソロホームランを放ち、打撃でアピール。「三塁・伊藤」での開幕起用も現実味を帯びてきた。
内野のレギュラー争いは、二塁は西野、遊撃は安達で揺るぎないだろう。センターラインがしっかりと決まっているのは、チームにとって心強い。
残る一塁と三塁をめぐる争いが熾烈を極めている。実績でいけば、小谷野や中島が抜けている。それにモレルが続く。若手では大城が打撃センスを見せることができるか。伊藤は打撃好調で本職を脅かす存在となっている。
これからのオープン戦での結果によって、レギュラー争いの決着がつく。今後の展開に目が離せない。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。