プロ野球はクライマックスシリーズへ向け熾烈な争いが続いているが、メジャーリーグ(MLB)はすでにシーズンが終わりポストシーズンに突入した。ここから約1カ月間をかけて、ワールドチャンピオンを決めるのである。
大谷翔平(エンゼルス)の活躍もありMLBへの関心が高まっているが、MLBのポストシーズンはどのような仕組みになっているのかしらない人も多いのではないだろうか。今一度、ここで詳しく説明したい。
まず、ポストシーズンの仕組みを説明する前に、MLBの基礎から入りたい。2018年のレギュレーションにおいてプロ野球は143試合制だが、メジャーリーグは162試合制となっている。19試合多い日程を消化するのだ。
また、今シーズンの開幕はプロ野球(NPB)、MLBともに3月29日(※MLBは現地時間)だった。つまり、同時に開幕し、日本よりも早くシーズンが終わるにも関わらず、MLBは19試合も多く試合を行っているのである。
チーム数の違いもある。NPBは12球団で成り立っているが、MLBは30球団で争われている。その30球団はアメリカン・リーグ、ナショナル・リーグと15チームずつが2リーグに分かれ、さらにそれぞれのリーグのなかで東・中・西と3地区に細分化される。すなわち、1地区が5チームで形成され、まずはそこでの地区優勝を目指すのである。
ちなみにリーグに所属するのが「15」ずつの奇数となっていることから、ほぼ毎日、交流戦(インターリーグ)が開催されている。NPBのようにまとまった期間で開催していないのである。また、インターリーグの最高勝率や優勝チームを決めることもしない。
ポストシーズンに進出するにはどうすればいいのだろうか。2018年のレギュレーションにおいて、ポストシーズンに進むことができるのは各リーグ5チームずつの合計10チームとなっている。30球団の3分の1が10月にも野球ができるのである。
各リーグ・5チームの決め方はこうだ。まず、各リーグの地区優勝の3チームがディビジョンシリーズ出場権を獲得する。
そして、その3チームを除いたチームから勝率の高い2チームが、ワイルドカードゲームと呼ばれる一発勝負へと駒を進めることになる。そのワイルドカードゲームに勝利したチームがディビジョンシリーズへと進出するのだ。なお、ワイルドカードゲームでのホームアドバンテージは勝率上位のチームに与えられる。
ディビジョンシリーズは5戦3勝制で争われ、地区優勝チームの勝率順によって組み合わせが決まる。
またディビジョンシリーズでは2試合、2試合、1試合の順で球場の移動があり、勝率1位のチーム、勝率2位のチームにそれぞれホームアドバンテージが与えられ本拠地開催でスタートする。NPBのようなリーグ優勝チームへの1勝のアドバンテージはない。
そのディビジョンシリーズで3勝したチームがリーグチャンピオンシップへ出場することとなる。
■ワイルドカードの仕組み
1戦制
勝率上位チーム 対 勝率下位チーム
(※勝率上位チームがホームアドバンテージ)
■ディビジョンシリーズの仕組み
5戦3勝制
勝率1位チーム 対 ワイルドカードゲームの勝者
勝率2位チーム 対 勝率3位チーム
(勝率1位、勝率2位チームがホームアドバンテージ)
ディビジョンシリーズを勝ち抜いた各リーグ2チーム・計4チームで争われるリーグチャンピオンシップからは、7戦4勝制が用いられている。アドバンテージに違いはあるが、NPBでいうところのクライマックスシリーズのファイナルステージに相当する。
2試合、3試合、2試合の順に本拠地の移動があり、シーズンの勝率上位チームに開幕権が与えられる。ただし、ワイルドカードから勝ち上がったチームに、ホームアドバンテージが与えられることはない。
■リーグチャンピオンシップの仕組み
7戦4勝制
勝率上位チーム 対 勝率下位チーム
(シーズン勝率上位チームがホームアドバンテージ)
リーグチャンピオンシップの勝者同士で戦う頂上決戦がワールドシリーズだ。7戦4勝制で争われる。レギュラーシーズン同様に、ナショナル・リーグの本拠地で試合を行う際は指名打者制が採用されない。
ホームアドバンテージはシーズンの勝率上位チームに与えられる。激しいポストシーズンを経ているだけに、ここまでくれば総力戦となり、中継ぎ投手やクローザーの投手が回跨ぎ、連投と通常とは違う起用法がとられることも珍しくない。
■ワールドシリーズの仕組み
7戦4勝制
勝率上位チーム 対 勝率下位チーム
(シーズンの勝率上位チームがホームアドバンテージ)
手に汗握る試合が多い、ポストシーズンの仕組みはこのようになっている。しかし、時代によってその制度は変化していく。その都度、仕組みを理解した上でシーズンから楽しむことでより一層、メジャーリーグがおもしろく感じられるだろう。
ワールドチャンピオンになるためには、ポストシーズンで最低11勝が必要となる。ワイルドカードからであれば12勝だ。今シーズン、その難関をくぐり抜けワールドチャンピオンとなるのはどのチームだろうか。これから1カ月の戦いを見守りたい。
文=勝田聡(かつた・さとし)