今キャンプの報道を見るにつけ、復活・大爆発の予感させるベテランがいる。松坂大輔(ソフトバンク)だ。
今季が3年契約の最終年。2015年は1軍登板なし、2016年も1試合に留まった。しかも、日本では2006年以来、3648日ぶりとなったその登板では、1回を投げて4四死球、5失点と炎上。全盛期に遠く及ばない姿を見て、誰もが「怪物伝説も本格的に閉幕か」と思った。
しかし、昨オフにプエルトリコのウインターリーグに参加したのが功を奏したのか、9キロの減量に成功してキャンプイン。ブルペンでは、まさに羽が生えたかのような投球を見せ、日に日に投げ込みの球数も増えている。
昨季、同級生の和田毅(ソフトバンク)はメジャーから復帰し、最多勝と最高勝率を獲得するなど衰え知らずの活躍を見せた。今季は松坂が再ブレイクする番だ。
松坂世代のベテランでは、杉内俊哉(巨人)の再起にも期待したい。
昨季の前半は2015年に行った股関節痛手術のリハビリに費やしたが、夏場に復帰し、2軍、3軍で調整登板。今季の目標に“開幕ローテーション”を掲げるまでに回復している。
今キャンプは2軍スタートとなったが、ブルペンに入るたびに“実戦モード”で球数を増やすなど、その仕上げ具合からも体調の充実ぶりが伺える。
5億円から5000万円に大幅ダウンした年俸(推定)を取り返す活躍を見せてほしい。
新天地・楽天で順調な仕上がりをアピールしているのが岸孝之。
日々、ブルペンに入ってはチームメイトや首脳陣がため息を漏らす投球を披露しており、3年ぶりの2ケタ勝利はもちろん、タイトル獲得など、それ以上の結果も期待できそう。
ちなみに森山良二投手コーチの提案で、藤平尚真らルーキーが岸の投球を見学。無駄のないフォームや、ブレないコントロールを見せつけられ、「すごすぎる」「自信をなくした」と、現時点では参考にするどころではない様子だった。
キャンプというと、とかく新戦力や売り出し中の若手に注目が集まり。しかし、今季は松坂が順調なこともあってか、ベテランへ注がれる視線が熱いように感じる。
生きのいい若手を見るのも楽しいが、これまでプロ野球界を支えてきたベテランが頑張っている姿を見られるのは嬉しい限り。
こう思うのは、もしかすると筆者が彼らベテランの年齢に近づいたからかもしれないが…。それはさておき、岸が若手の度肝を抜いたように、今季もベテランが匠の技を披露して、プロ野球を盛り上げてほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)