実は甲子園に出るためには地方大会を勝ち抜くだけではなく、多大な出費の工面もある。
一説にはウン千万円。移動費、滞在費、応援のためにチャーターするバス代などなど、とにかくお金がかかるのだ。
とくに沖縄は船や飛行機で甲子園に来なくてはならない。沖縄大会の日程がほかの地区と比べて極めて早いのは、寄付金集めに時間がかかるからだともいわれている。
そんな沖縄県勢だが、アルプススタンドはいつも超満員だ。
名物応援『ハイサイおじさん』や指笛、踊りうねるスタンドで選手たちを鼓舞する沖縄県勢。
その中心となっているのは市尼崎の吹奏楽部だ。市尼崎の吹奏楽部は兵庫県屈指の強豪として知られており、羽地靖隆総監督が沖縄出身という縁で20年前から春夏の甲子園で沖縄代表の応援を引き受けてきた。
甲子園での友情応援はよくある話だが、20年連続となるとその腕、経験はベテランの域。高校野球と同じく部員は毎年入れ替わるが、ノウハウの蓄積は半端じゃない。市尼崎の友情応援があるからこそ、沖縄の応援はいつだって相手チームの脅威になっているのだ。
それだけではない。毎年、沖縄代表の試合には沖縄県人会をはじめ、関西近郊の沖縄出身者が大挙して詰めかけ、さらには沖縄の応援に魅せられた“沖縄ファン”もアルプススタンドに参戦。超満員の大盛況になっているのだ。